2000 年 5 月 28 日の日誌から

AB 型 Rh(-)の方への供血献血依頼のメールについて

チェーンメールは絶対に転送してはいけません.これはインターネットのルールです.

友達の所に「AB型Rh(-)の人を探しています.」というチェーンメールが来ました.彼女はそれをどうすれば良いのかぼくに相談してきたのです.チェーンメールは絶対に転送するべきものではないので,他の方法を考えようと思いました.ぼくの web ページに出せば 5 日間で 1000 回以上は参照があるからそれでいいでしょうという話をしました.

しかしその後でちょっと調べてみたらなんだかいろいろな問題が出てきました.メールの内容を掲載するのではなくチェーンメールについて書くことにします.今回の件では病院が公式なアナウンスをしているので,その情報を信頼するべきかとぼくは思います.

チェーンメールとは何だろう

チェーンメール

メール本文に「このメールをあなたの知人に転送してください」という意味の内容が含まれているメール.すでに次々に転送されて来たメールで元の発信者が誰だか良く分からないメール.この両方もしくはどちらかの条件を満たすメールを「チェーンメール」,それを転送する行為自体も「チェーンメール」とします.

重要なのはウソでも悪戯でもない「まじめな本当の事」でもチェーンメールであると言うことです.デマや悪戯が悪いのではなくてチェーンメールという手段が悪いのです.

チェーンメールの種類:

  1. デマや悪戯で,悪意によって発生する悪意のチェーンメール
  2. 面白い話など友人に伝えようと転送するうちに,いつのまにかチェーンメールになってしまう,すばらしいネタのチェーンメール
  3. ボランティアの募集や実在するコンピュータウイルスの情報など,人の善意によって発生し,善意によって転送される,善意のチェーンメール

実は一番扱いに困るのが 3 つめの善意のチェーンメールなのです.やはりこういったものは転送しまう人が多いので拡がりが速く強力です.それの転送されていく様は話題になったコンピュータウイルスの「I LOVE YOU」メールなどと同じ様なもので,人の善意によってメールが転送されるか,コンピュータウイルスのプログラムによって転送されるかの違いであって,しかも人の善意はコンピュータプログラム(いわゆるワクチンプログラム)での対策が難しいのです.

今回のチェーンメールから学ぶこと

今回のチェーンメールは AB 型 Rh(-)の方への供血献血依頼でした.これは病院に確認がすでに取れていて本当の話のようです.しかしこのチェーンメールに連絡先を書いた人は,問い合せのメールや電話で大変な目にあうでしょう.誰でもそれが本当の事かウソなのか確認したいからです.病院も「全国から様々な形での問合わせが相当数寄せられおり診療に支障が出てきています」という事態です.あるweb ページでは,このチェーンメールを自分の名前と連絡先を付けて転送した人が「このような 状況で、現在私は、毎日30件以上の問い合わせの電話や、ファックスの対応をしており、自分自身手におえない状況になりつつあります。今回の件で、なにより、病院にご迷惑がかかってしまいました。」というコメントをしているのが公開されています.毎日 30 件も問い合せがきたらそれは大変でしょう.しかもそれは時間がたつにつれて増えていくでしょうし.

この様にそれが善意であってもチェーンメールは問題であって,やはり転送するべきではないのです.病人のためにとチェーンメールを出したら病院に迷惑がかかったではどうしようもありません.

ぼくが友達から受け取ったチェーンメールにはぼくの友達の友達の会社のメールアドレスと電話番号と FAX 番号がありました.これをそのまま転送したら彼女も職場で大変な目に合うことになるわけです.もちろんすでにあちこちに転送してしまっているでしょうから,週明けには大変なことになるかもしれません.ぼくはメールの内容から特徴的な一文「血液センターより掻き集め確保」を選んでそれをキーワードにフレッシュアイという検索エンジンで調べたら 6 件のページが見つかりました.ぼくはまだ少ないなぁという印象を持ちました.

Rh(-)の方への供血献血依頼のメールについて

日本医科大学多摩永山病院産婦人科では「治療上の必要性から日本赤十字社や、AB型Rh(-)の方に対して供血のご協力をお願いしている」そうです.

と,いう訳でチェーンメールを転送してはいけません!

参考となるサイト(随時追加)