八ヶ岳・野辺山高原 一泊ツーリング

2000 年 7 月 22, 23 日

(山梨県・長野県)

7月22日 小淵沢から清里-野辺山

うたた寝をしてしまったらしく,気が付いたらすでに朝方の 4 時過ぎ.まったく準備をしていない.あわてて準備をする.今日の愛車は折畳みリカンベントのSat R Day.沢山荷物をつめるのが便利だ.後のキャリアにパニアバッグ.シートの後には大きなバスケット.なにも考えずにそこら辺に散らばっているものをパッキングする.たぶん余計な荷物は相当あるだろう.どうして一泊のサイクリングでこんな大荷物になるのか.雨具一式が結構がさばっている.自転車用の SPD シューズと山歩きで使う軽登山靴との両方を持っていかなければならないのも荷物が大きくなる要因だ.SPD シューズはシューズをペダルに固定する為の金具が足の裏についているので山では滑って危険だし,リカンベントに乗るときは足をビンディングでしっかり固定しないと怖いので,やっぱり SPD シューズも登山靴も必要なのだ.

まずは最寄りの駅から輪行である.しかし切符も準備していない.とりあえず定期券で自動改札を通り電車に乗り込む.6時前だ.約束の電車に十分余裕を持って立川に到着する.ここで切符を買うことにする.定期で乗ったのだが目的地の小淵沢までの切符を買いたいと駅員に説明し,改札を出て窓口へ.窓口でクレジットカードで切符を買う.少し考えて青春18切符にする.きっと使う機会があるはずだ.

今日のメンバーのしらすさんとは9:12分に石和温泉で待ち合わせる.電話で先頭車両に乗っていると伝えた.もう一人のいいづかさんは新宿を 8:00 発のスーパーあずさ 3 号に乗り 9:52 小淵沢着の予定だ.

小淵沢駅に到着すると,すでにいいづかさんは 3 輪のリカンベントの Trice を駅前で組み立て中だった.聞けば予定よりも一本前の特急で来たそうだ.それでもやはり組み立てに手間がかかるのでぼくたちが到着したときにはまだ走れる状態ではなかった.

いいづかさんはお腹が空いているということで,小淵沢インターチェンジの近くのほうとうのお店に行くことにした.ほうとうは山梨とかの地方の食べ物で,うどんみたいなやつ.せっかく GPS を持ってきているのに,予め何の準備もしていない.以前に一度行ったことがある地点が何カ所か記録されている程度だ.ちょっと道を間違えたりしながら目的のお店「松木坂」に到着.お店は 11 時半からだとかでちょっと早かったのだが,お店の中で待たせてもらった.

昼食をすませていざ出発.小淵沢 IC の前を通りすぎて坂道を登っていく.いきなり良い感じの登り坂.さてはてきょう一日どうなりますやら.日曜日に来るつもりである温泉のある施設であるスパティオ小淵沢の前を通り,あとはほぼ小海線に反った道を通ることになる.大体の方向は GPS でわかるのだが,こういう場所では道が行き止まりになることも.一度ミスコースしたが無事に最初の目標地点の三分一湧水に到着.甲斐小泉駅のすぐ近くだ.ここは湧き水を 3 等分して分配するような仕組みが石で作られていた.かなり古い物なのだろう.観光名所だ.都内の玉川上水にも同じ様な物があったはずだ.

甲斐小泉の駅前を通り,さらに登っていく.比較的緩やかな坂を登っていくことになる.

ここで Trice にトラブル発生.登り坂であるからしてフロントインナー(小さいギア)とリアのロー(大きいギア)の組み合わせを使うことになる.しかし見るとチェーンが長すぎてたるんでいるようだ.Trice はシートポジションを変更するとホイールベースが変化して,結果チェーンの長さも変更が必要になる.今回トルクをかけられるようにシート角度を起こしたらホイールベースが短くなってチェーンがあまったようなのだ.そこでチェーン切りでチェーンを摘めることに.いいづかさんはチェーンを切って繋げるときに新品のピンを使わずに古い物を使い回していた.ぼくは 9 速対応のシマノのチェーンはかならず新しいピンを使わなければならないと聞いていたので,大丈夫なのかなぁとは思っていた.大丈夫なときは大丈夫なのだ.しかし駄目なときはやっぱり駄目だ(笑).情け容赦なく弱っているいいづかさんをトラブルが襲う! チェーン切りでチェーンを切ったり繋いだりしているうちに,失敗している箇所が何カ所かできていてチェーンの動きがしぶくなってしまったようだ.そこに力が加わるときに歯飛びが起こっているようだ.いいづかさんは結局このトラブルには最後まで悩まされることになる.

甲斐大泉駅前で休憩.駅前の坂を一気に下ってから左に折れて清里高原道路へ.川俣渓谷にかかる大きな橋が,今回の一番の絶景ポイント.非常に高いところに橋が掛かっていて,下を見下ろしても緑が深く,さらにその下に渓谷の川面が見える.遠くに目を移せば雄大な八ヶ岳.とてもすばらしい景色だ.

すばらしい景色を堪能した後はすばらしい登り坂が.

谷間に橋がかかっているので,橋へのアプローチは下りがあった.その分も登らないと谷から出れないし,さらに甲斐大泉側より清里側の方が標高が高い分だけ登りが多い.ここは新しい道で広い道路が真っ直ぐ登っている.登坂車線のある道路,自転車での登りがしんどくない訳がないのである.

この登りは厳しかった.厳しい日ざしを遮るものは何も無くひたすら登っていく.皆休み休みだ.

その坂を上り切ったところで清里.清里では特に寄り道せずに先に進むことに.国道 141 号線に入り,野辺山へ.ひたすら登れば JR 最高地点にいたるはずなのである.皆にあそこまで登ればあとは下りだと言葉をかける.ウソをついているつもりは特になく自分でもそう信じて走っているのだ(笑).でもピークに見えたそこに近づくとまだ先も登りになっている事に気づかされる.もうちょっとだあそこまで登ればっていうのを繰り返す.いやウソを付くつもりはないのだが...

清里-野辺山間は自転車で登っても 30 分ほどだ.しかし小淵沢からかなり体力を使って登ってきたぼく達には,それなりの距離と標高差であった.

やっとのことで峠を越えて,JR 最高地点に.とりあえず 3 人でジョッキの牛乳で乾杯.ぼくはアイスクリームも.いいづかさんは,ジョッキの牛乳をおかわりした.

JR 最高地点で 3 人で記念撮影していると,何処からかぼくを呼ぶ声が.「おのさーん」女の子が車から乗り出して手を振っている.ぼくも手を振りかえす.この日は清里で「シマノ八ヶ岳バイカーズ・フェスティバル」が開催されていて,Recumbent Cycling Club の新人メンバーの嘉茂さんは MTB でその大会に出場していたのだ.それは事前に知っていたけど,まさかちょっとでも会うことがあるとは思わなかった.嘉茂さんも事前にぼくらがツーリングに来ていることを知っていたので,その場でリカンベントと BD-1 の 3 人組をみてぼくらとすぐに分かったのだろう.

JR 最高地点から今夜の宿である「旅人宿こっつぁんち」まではもうすぐだ.宿はお酒の持ち込みが可能なので,酒屋に寄っていこうと提案する.ビールを 3 L と日本酒一升ビン.うーん 2 人とも飲むんだなぁ(笑).

宿も「シマノ八ヶ岳バイカーズ・フェスティバル」へ参加している団体が来ていた.なんと掛川から来たそうで,袋井のオレンジロードの時にぼくらのリカンベントに試乗したという人に声をかけてもらった.

晩ご飯が終わって,酒盛りに.始めは三人で飲んでいたのだが,おのひろきがあまり飲まないためにかなり酔っ払ってから 3 人では消費しきれない量だと言うことに気が付いた(笑).結局他の宿泊客と混じって酒を飲む.

この宿は男女別相部屋制であるためにもともと一人旅の人が多い.一人で来ていたある女性は「男の人はひとりでこないけど,女の人は一人で来るのよ」と.確かに女性は一人旅の人が圧倒的に多かったかな.

7月22日 飯盛山 八ヶ岳有料道路


日曜日は宿の主人の案内で野辺山スキー場のある飯盛山に登った.このお気楽登山にはぼくらの他にも宿の宿泊客が参加して総勢11人.5歳を最年少に小2と小4の3姉妹も参加してきちんと歩いていた.季節の花のニッコウキスゲがとてもきれいに咲いていた.他にももっと花の綺麗な山はあるそうだが,そういうところは人も多くていけないそうだ.ここは人より花のほうが多いのが良い.

山から降り 13 時半ごろ JR 最高地点で Brompton で参加の山永さんと合流.4 人で八ケ岳有料道路を通って小淵沢へ.この日は清里での「シマノ八ヶ岳バイカーズ・フェスティバル」から帰る車でかなり交通量が多かった.自転車仲間であるからして手を振ったりしてくれる人もいた.BiCYCLE CLUB のカメラマンさんが,車を停めてツーリング中のぼくらにカメラを向けた.「シマノ八ヶ岳バイカーズ・フェスティバル」の取材を終えて帰るところだったそうだ.

八ケ岳有料道路は清里側からのアプローチの上り坂がちょっときつくて休みながらであったが,全体的には下り傾向でハイスピードダウンヒルを存分に楽しんだ.

いいづかさんの Trice が側溝に落ちるというトラブル発生.前輪をステアするロッドが曲がってしまった.それを取り外してとりあえず曲がっているのを伸ばしてみる.もともとあまりシビアな調整をしていないらしく,とりあえず元どおりくっつけて,この日は OK と言うことに.

いいづかさんは,Trice でのツーリングらしいツーリングは最初の輪行となった三浦海岸以来だと言う.坂も登れるみたいだし十分ツーリングに使えるという手ごたえを得たようだ.下り坂でもけっこうスピードを出して走ってきもち良かったのでは?

3 速の Brompton で参加の山永さんも,8 速のほぼ無改造のパシフィック 18 で参加のしらすさんも,登りも下りもがんがん走っていた.

JR 最高地点を出発したのが 14 時ごろだったので,小淵沢に何時に着くかと思っていたが,16時には無事に小淵沢に到着.清里に戻る山永さんとはお別れして,小淵沢にある温泉に.温泉はスパティオ小淵沢という施設の延命の湯.アルカリ性で鉄分で赤いおえ湯であり,露店風呂もあってよい温泉でぼくのお気に入りだ.温泉ではミズタニ自転車の福田さん親子や,シマノバイクフィットプレスの編集の方などにお会いした.嘉茂さんがさんかしていたシマノの大会に出ていたそうなのだ.

温泉で汗を流してその後は小淵沢駅から輪行.さんざん走ったあとは電車で帰るというのが楽なのでは.やはりこの季節は特急は非常に込みあうのもあって皆で鈍行列車で帰ることにした.

また,野辺山でサイクリングを企画したい.もっと参加者が増えるように行きの輪行区間を長くして楽なコースにしてみてはどうだろう.ちなみに野辺山高原や八ケ岳有料道路は標高があるので日差しの強さの割に涼しく,湿度もなくて過ごしやい.高原の風は心地よかった.


おのひろき onohiroki@cup.com

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