リカンベントサイクリングクラブ

袋井オレンジサイクルフェスタ参戦

2001 年 5 月 5, 6 日

概要

浜松のプーさんの呼びかけもあり,袋井オレンジサイクルフェスタにリカンベントサイクリングクラブでチームを作って参戦した.

この袋井オレンジサイクルフェスタは,袋井にあるヤマハの試験コースを借りて自転車レースを行うというイベントだ.普段はヤマハのモーターサイクルが爆音をあげて駆け回っているコースである.

昨年(2000 年)の袋井オレンジロードで,プーさんから主催者側に「リカンベントでも参加できるように!」とお願いして,とりあえず試走時間にコースに出ても良いと許可が出た.そしてリカンベントをアピールするためにリカンベントサイクリングクラブから数人が参加して試走時間にコースを周回し,さらにコースの外では沢山の人に試乗してもらうなどの活動を行った.

そのプーさんの交渉と去年のリカンベントのデモが実り,今年から 3 時間エンデューロにリカンベントのクラスが設けられた.

リカンベント サイクリングクラブ メーリングリストで参加者を募り,3 チームが出場する事になった.5 月 5 日に浜松で集合して一泊し,6 日朝に袋井まで移動して大会に参加し,大会終了後は JR 掛川駅で解散というスケジュール.

5 月 5 日
浜松へのアプローチ

東京駅に,パナールさん,杉並の渡邊さん,そしてぼくの 3 人が集まった.新幹線は比較的空いていた.ぼくは Sat R Day をケースに入れてきたので,荷物はコンパクトであるが,他の 2 人は大荷物だ.

杉並の渡邊さんは BikeE.シートとハンドルポストを外して輪行袋に入れるので,輪行準備は簡単だ.ホイールもはまったままだから転がせるし,スタンドもついたままなので当然自立させることができる.新幹線では禁煙の自由席の一番後の席についた.一番後のシートと壁の透き間に BikeE を入れることができた.やってみればあまり無理ないものだ.

無理があるのはパナールさんの TOXY ZR だ.パナールさんは TOXY ZR にテールボックスをくっつけた状態で,そのままビニールシートに包んでの輪行だ.テールボックスとはシートの後につく箱で,整流による空力的な効果を得るためのパーツだ.中は荷物が入るようになっている.このテールボックスがあるために BikeE と違って幅が大きく,シート後の透き間などには入らない.結局シートを一人分つぶしてそこに縦に置いた.大きく後にはみ出したが,後は壁なので大丈夫....かなり強引である.混雑していたら,こんなことはできないだろう.

浜松ポタリング

新幹線が浜松駅に到着.駅の前の噴水の広場にはすでに幾つかリカンベントが.24 インチホイールのロードで来ているガースさんの姿もある.

ぼくはさっそく Sat R Day をケースから出して組み立てに入る.そんなことをしている内に今回のホストのプーさんが現れる.

皆でリカンベントに乗って,昼食をとるレストラン「マインシュロス」まで移動する.リカンベントが沢山集まっての移動なので,なんだか楽しい.街中を走ると皆がみな振り返る.

毎回浜松でのオフラインミーティングではまずはここで昼食だ.ピザやソーセージを食べる.昼食の後,@nifty の自転車フォーラムのガースさん達と別れる.

昨年は浜松に来たときにはすでに浜松祭りは終わっていたのだが,今回は 5 日が祭りの最終日.凧あげ会場に皆で移動する.さすがに人出があり,あちこちで交通整理を行っている.そんな中をリカンベント隊が進む.祭りに参加している人からもリカンベントについていろいろ質問される.中にはリカンベントライダーと一緒に写真を撮る人もいる.

凧あげ

浜松祭りの凧あげ.広場から沢山の凧があがっている.ひもを引いたり送ったりするのだが,引くときには十数名が円を描いてひもを引いている.人間がリールのように働くのだ.ひもをつかんで数歩走ってひもを地面に落とす.それを円陣を組んで,複数の人間で連続的に行うのだ.

指示を出す人が別にいて,その指示でひもを引くのをやめてひもを送る.すると凧は高度をいったん下げるが,ひもが送られるのでかなり遠くまで風に流される.高度が下がりすぎたら,また引くのだ.それを繰り返して徐々に凧を高くあげていく. 指示を出す人,ひもを引く人.その他にはラッパを吹く人がいる.見ていて面白い.

今回プーさんはビデオ撮影に凝っていて,凧あげ会場のの近くの海岸では,皆にあーしろこーしろと指示を出してビデオ撮影をしていた.

ここまでは明日のレースに参加しない Linear の細井さんも一緒だった.細井さんの Linear はまんぼうさんの Linear とはまた微妙に違いがあるようだ...

凧あげ会場を後にして,いつもの宿「豊本(とよもと)旅館」へ.

途中でプーさんなどは自動車と荷物をプーさんの家に取りに行くということで,別行動に.宿への道は去年走ったときの GPS のログをハンディ GPS に取り込んできてあるので,それを見れば大丈夫.

宿についてから,プーさん持参のビニールシートを敷いた部屋の中に,皆の自転車を運び込む.宿は祭りの時期なのにぼくらで貸切りだ.宿は普段は観光客相手でやっているのでは無いそうだ.それで祭りの時期には本来の営業をしていないところを,ぼくらに貸切りにしてくれている.ありがたいことだ.

御殿屋台

夜も祭りの見物に.プーさんが「屋台を見よう」と言った時には,祭りだから「たこ焼き」とか「わたあめ」とかの屋台が出ているのを見に行こうということなのかと思ったのだが,それは全然違っていて,はままつ祭りでは「御殿屋台」という車が出るのだ.屋台は人がひもでひっぱるようになっている.どの屋台も立派な屋根がついていて,その下に「お囃子」が並んでいる.つまり女の子が並んで囃子を演奏している.原則として「お囃子」は小学生くらいの女の子のようだ.演奏上かかせないのか,まれにおじさん・おばさんも交じって演奏していた.

祭りの中を市内の「ミソノイサイクル」へ.営業はしていなくて,お店の人は店内で祭りの雰囲気を楽しみながらビールを味わっている状態だったが,ぼくらはそこにお邪魔して店内のお宝を見せてもらったり,人によっては買い物したりした.ぼくなどは Sat R Day の後輪を固定するナットのねじ山がつぶれかかっていたので,それの代わりになる物がないか相談させていただいた.トモさんの提案でネジロックをつけて間に合わせることにした.感謝.

ビデオ上映会

宿に戻ってからは,いつきさんがアメリカから持ち帰った People Movers のビデオの上映会を行った.People Movers とは米国の大手の Recumbent 専門店だ.いつきさんはビジネスで米国に行った際に,リカンベントのビルダーの Lingtning とショップの People Mover に立ち寄ったのだそうだ.

People Mover のビデオはなかなか面白かった.リカンベントタンデムが多く見られた.日本ではリカンベントタンデムは非常に珍しい.皆でビデオを見ながら,やはりリカンベントタンデムは背中合わせが合理的だという結論に達した.

さらにぼくが恋い焦がれている Bilenky ViewPoint セミリカンベントタンデムをビデオの中で発見した.動画で ViewPoint を見たのは初めてだ.確かにキャプテンとストーカの 2 人は別々のケイデンス,つまり異なる回転数でペダリングしている.2 人が異なるケイデンスでペダリングできるのも ViewPoint の特徴の一つだ.ぼくはかなり感動した.それにしてもぼくの ViewPoint はいったいいつになったら完成するのか...

翌日のレースの為に早めにそれぞれの部屋に.部屋は 2 人から 4 人部屋.ぼくはプーさんと同じ部屋だった.寝る前にプーさんにディジタルビデオカメラと iMovie によるデジタルビデオ編集についていろいろ説明してもらった.SONY の FireWire (iLink) 対応のビデオカメラで Macintosh と繋げば,ビデオカメラ側を操作することなく,すべてを Macintosh 側でコントロールしディジタルビデオ編集ができるのだそうだ.なるほど,なかなかすばらしい.プーさんは銀塩カメラにもそうとう凝っているそうだし,動画も昔は 8 mm (もちろん銀塩であってビデオではない)からやっていたそうだ.

5 月 6 日
レース当日の朝

手早く朝食を済ませて,それぞれの自転車を自動車に積み込む.宿からレース会場までは数台の自動車に分乗して移動する.

レース会場の袋井のヤマハのテストコースの駐車場に到着すると,さっそく自転車を組み上げる.残念ながら走れる状態になったときには試走時間終了の 3 分前くらいだった.今回は本番が走れるのだからと試走はあきらめる.

リカンベントのクラスがあるレースは鈴鹿で行われた大会などがあるが,その時にはロードレーサと一緒に走ることはなく,ロードレーサとそれ以外の車種とは,それぞれ別の時間に走るという形式だった.ところがこの袋井オレンジの 3 時間エンデューロではロードレーサ,マウンテンバイク,小径車,リカンベントが皆一緒に走るという画期的な大会だ.

チーム紹介

我ら Recumbent Cycling Club からは「低空飛行」,「背面飛行」,「遊覧飛行」と個人で小林@浜松さんがエントリー.他に Rans Rocket などがエントリーしていて,リカンベントカテゴリーでは 6 チームがエントリーしていた.

「低空飛行」は車高が低いローレーサを中心に「リカンベントは速いのだ!」ということを証明するという使命をおびたチーム.メンバーは,Bike Friday Sat R Day Recumbent のいつきさん,Challenge Taifun のむなかたさん,M5 LowRacer の森さん,TOXY-ZR ローレーサのパナールさんの 4 名.

「遊覧飛行」はその名の通り「遊覧」って感じで,レースの雰囲気を楽しもうっていう主旨のチーム.Sat R Day のプーさん,BikeE の渡邊眞起さん,Burley Limbo のたいさん,そして BikeE CT を借りて出場の遠藤さんという 4 人のメンバー. 残りはまじめに走るけど「低空飛行」に与えられた使命は重すぎると自覚する 3 人,Sat R Day のおのひろき,おなじく Sat R Day の のんきさん,SR-1 のいしださん.そしてレースが始まる.

レーススタート

第一走者は「低空飛行」からパナールさん,「背面飛行」からおのひろき,「遊覧飛行」から渡邊さん.

スタートラインに並ぶときに,リカンベントだけはコースの右端からスタートするように要請があった.確かに固まった状態からのスタートではスピードの出方が異なるリカンベントが交じっているのはちょっと不安かも.右端に集められるのは決して不利な条件ではなくむしろ有利も.

いよいよスタート.軽いギアからスムースにスタートしてギアチェンジしていく.前を走る TOXY-ZR のパナールさんがそれほどスピードが乗らないので前に出る.ぱしぱしっとギアチェンジして気が付いたら,ぼくは先頭になっていた.でもいきなり走り始めたので,足はあまり良く動かない.続いてコースは登り坂に.あっさりと後続に先をゆずりいきなりゆっくりペースになる.これはちょっとはずかしい(苦笑).1 周走ったところでけっこうきついと思ったのだが,始めに 2 周で交代を目安にしようという話だったので,がんばって 2 周目に突入.幸い皆が見ているホームストレートは緩い下り坂のようだ.そこでは十分なスピードが出るのが嬉しい.鈴鹿ではホームストレートが緩い登り坂になるように逆周りだったので,スピードが出なくて辛かった.袋井のコースもけっこう上り下りがある.それにヘアピンカーブはフルスピードでは曲がりきれない.やっとのことで 2 周目を終わって SR-1 のいしださんに交代. その後,2 周ずつ走って交代というのを繰り返す.

痛恨のトラブル

期待が集まる低空飛行チームにいきなりトラブル.森さんの M5 ローレーサが戻ってこない.バックストレートを走行中の森さんが 1 周でピットに入ると連絡してきたものの,その後戻ってこないのだ.なんと森さんはディレイラーが後輪に巻き込まれるというトラブルで,走行不能状態に.森さんはコースの外を M5 ローレーサを押しながら歩いて戻ってきた.とりあえず計測チップを次の走者に渡してレース続行.ディレイラーが調整不足だったかテールボックスの取り付けに問題があったのか原因は不明だがディレイラーが後輪に接触してそのまま巻き込み,ディレイラーが破損し,フレームエンドが曲がってしまった.フクダさんが,ディレイラーをばらして組み直し,変速はできないもののなんとかチェーンテンションをとれるように応急処置.M5 ローレーサはフロント 3 速のみという状態で,もう一度コースに出ることになった.後から森さんが語るところによると,ミドルに入れて走り始めた物の,下り坂でアウターに入らないことに気が付いて手で変速したとか.ローレーサのかなり仰向けに寝そべった姿勢から手で変速するなんて...

けちらせ

今回はむなかたさんが大活躍だった.とにかく速い.レース途中で聞いてみたら,コース上では誰にも抜かれたことが無いと言い切った.第一走者では無かったので,トップ集団とは絡まなかったのが残念だ.

むなかたさんが,ピットで順番を待っている.低空飛行チームの走者が帰って来て,むなかたさんに交代.計測チップを交換している間に,ロードレーサの集団がすごいスピードでピットの前を通過していたった.走り出すむなかたさんに「いけぇ,むなかたぁ,お前なら追い越せるぞー」と声をかける.そのときのぼくはどこまで本気でそう言ったか.ピットロードを緩やかに発進するむなかたさん.本コースに出ると猛然とロードの集団を追い掛け始め,みるみるその差が縮まった.それを見て,Recumbent Cycling Club のメンバーは大興奮.ホームストレートで完全にロードレーサの集団に追いつき,続く登り坂を登りきる前にそのロードレーサの集団を追い越していた.その時のむなかたさんの走りは誰よりも輝いていた.本当に今日の誰よりも速いのではないか?

ゴール

ぼくら背面飛行チームはトラブルも無く,順調に周回を続けた.2 周走って交代というローテーションを続けて 3 人で 3 セットが終わり,また第一走者だったぼくに順番が回ってきた.1 周で交代かと思ってコースに出る.1 周終わってホームストレートに戻ってくると,もう交代しないでそのままゴールしろと指示された.全力でゴールを目指して加速する.結局スタートとゴールを走らせてもらってしまった.

競技結果

競技結果 3 時間耐久レース (リカンベント)

この大会では 6 位まで表彰対象なので,エントリーした全チームが表彰対象に.ぼくはずうずうしくチームを代表して表彰台に.

イベント終了

楽しいイベントが終わってさっそく撤収.自動車で JR 掛川駅まで送ってもらい,そこで来年また集まることを約束して解散.ぼくらは新幹線に乗って帰路に着いた.

本当に楽しいイベントだった.レースに出るとやっぱりトレーニングが必要かしらとか,もっとレース向けのリカンベントが必要かしらとか,いろいろ心に迷いが生じる(笑).

今回は間に合えば ViewPoint セミリカンベントタンデムも持ち込むつもりだったが間に合わなかった.次回はレースには出ることができないかもしれないが,ViewPoint を持ち込んで,プーさんのビデオ撮影を手伝いたい.ViewPoint の前側のストーカのシートはカメラマンに最適だ.この世界では有名な Encycleopedia のビデオでもセミリカンベントタンデムが撮影に使われていたそうだ.



2001 年 5 月 22 日作成


おのひろき onohiroki@cup.com