宮城県センチュリーラン 2002

2002 年 6 月 2 日

勘違いから始まる

なんとなく勘違いしていたのですが,昨年のセンチュリーラン笠間の 150 km では,ぼくは 6 時間強だったのです.今回はそれよりも目標時間は控えめにと思っていたのに,人から「目標タイムは?」と問われたら「6 時間」と応えていました.それは違う!

宮城県センチュリーランに出て見よう

宮城県センチュリーランは仙台在住の宗像さんが過去に参加されて,特にきびしい坂もなくフラットで,リカンベントには有利なコースとリカンベントサイクリングクラブメーリングリストに紹介していたので,一度参加してみようと思っていたのです.

ところがスケジュール的には,ドイツでの World Birdy Meeting から水曜日に帰国してすぐの日曜日という事で,かなり厳しい.
さらには宗像さんは仕事で忙しくて参加できなさそうだというし,渡邊真紀さんはひざの調子が悪いから参加を見合わせようかというし,宮城県センチュリーランの運営側で自転車社会学会を運営なさっている門岡さんも,その日は別のイベントのためにいらっしゃらないというし,BD サイクリングクラブメーリングリストでも結局参加者はなしと,なんだかあまり勢いがありません.申込のぎりぎりまで迷ったのですが,とりあえず申し込もうということで申し込みました.

結局は宗像さん,渡邊真紀さんも申し込んだのです.
渡邊真紀さんとはセンチュリーランの直前まで一緒にドイツに出かけてまして,成田に向かう飛行機のなかでも,宮城県センチュリーランでの宿はどうしようかと話しをするなど,直前までぜんぜん準備ができていませんでした.
結局は比較的暇であるはずのぼくが宿を予約する約束だったのですが,出発の前日になって渡邊真紀さんが宿を予約してくれました.

前日 2002 年 6 月 1 日

土曜日に新幹線で仙台へ向かいました.今回の自転車は Sat R Day Recumbent です.チェーンが伸びているので,交換したいと乗るたびに思うのですが,今回も交換はできないままでした.
仙台に到着してから渡邊真紀さんと合流し,ホテルにチェックイン.その後,土曜日に休日出勤していた宗像さんと落ち合って牛タンを食べに行きました.以前リカンベントサイクリングクラブのツーリングで仙台ツーリングの時にも,皆で牛タン食べたものです.その時と同じお店の別店舗に行きました.

食事の後は,宗像さんの案内で市街をぐるぐるっとひとまわり走りました.いわゆるママチャリと呼ばれるお買い物自転車に乗る宗像さん.しかしサドルはスペシャライズドのボディジオメトリだし,ペダルはシマノの SPD ペダルだし,ヘルメットもかぶっているし,ちょっと違うぜって感じ.

宗像さんはやはり,日曜日も休日出勤という事で,センチュリーランは棄権ということになりました.でも朝,ぼくらをホテルから会場まで送ってくれると言う事でした.

2002 年 6 月 2 日 大会当日の朝

大会当日の朝,宗像さんの自動車のルーフキャリアに,黄色と赤色の 2 台の Sat R Day Recumbent で会場に乗り付けました.赤い Sat R Day の渡邊真起 さんはハーフの 80 km,ぼくはフルセンチュリーの 160 km です.
すでに去年リカンベントで参加した宗像さんの事を覚えている人も多く,声をかけてくださった方の多くは,宗像さんの去年の走りについてコメントしてました.

参加しているのはほとんどがロードレーサ.たまにマウンテンバイク.よくよくみると,ドロップハンドルだけど,カンチブレーキとか泥よけがついているツーリング車もって感じでした.

スタートはまず 160 km の人たちから,80 km の人たちはその後になります.80 km の渡邊真起 さんには,ぼくがゴールするまでまっていてくれとよくお願いして出発しました.真起さんは,荷物を預けたようですが,ぼくは着替えや雨具,ワイヤー錠,PDA と全ての入ったバッグをシート裏に取り付けて走る事にしました.厳しい坂もないなら,多少重くても大した事はないだろうと.

ゆっくりスタート

スタートはまずは,会場近くの松林の中の自転車歩行者道を走ります.狭いところなので,一緒にスタートした数人でゆっくり走りました.こんなにゆっくりでいいのかなっていうペースです.しばらくすると一般道になりました.交通量は多くはなく走りやすい.すぐに皆のペースもあがって来ました.

こちら宮城県では,車道を走っていてもはやり自動車にクラクションを鳴らされる事はありません.なんとなくこちらの自動車の運転手は余裕のある運転で,安心して自転車で走る事ができました.ぼくの知っている,東京都/千葉県/神奈川県はもうちょっと違って走りにくいです.

GPS を携帯して走行していながら,コースが良く分かりません.事前に GPS にコースのデータを入れて来ませんでしたし,追加の日本地図データを削除して,ドイツの地図データを入れたままでした.センチュリーラン笠間と比べると,看板が少なめに感じました.
毎年ミスコースする人が多いということでしたが,ぼくはなんとか周りの人に助けられて,ミスコースすることなく走ることができました.
なんの準備もしてこなかった GPS ですが,走って来た奇跡が画面に出ますから,それとコースマップを見比べると,だいたいどこなのか見当がつくものです.

速くもないのに名前が知れるのはちょっとはずかしいかも

途中で,「おのさんですよね.」って話し掛けられました.サイクルスポーツで GPS の特集記事に写真がのったばかりでしたし,web ページも読んで下さっていたそうで.GPS つけて Bike Friday の Sat R Day リカンベントに乗っているからそうかしらと...
そうして声をかけてもらえるのは嬉しい事です.コースが分からなくなって,交差点で地図見て確認しているときに,「おのさん,そこは左です!」って,後ろから声をかけてもらったときは,ほんとにありがたかったです.

リカンベントは楽なのか

平地ではなんとか周りについて行けても,上り坂になるとこっちのスピードが落ちるので,おいてかれてしまします.ロードレーサよりも,上り坂と平地のスピード差が大きいので,平地で頑張って着いて行けば,上り坂でおいて行かれるのは当然なのです.

後,反応が遅くなりがちなのが気になりました.
後ろから追い抜かれたときに,頑張ってそれについて行こうとする場合は,加速する必要があります.その加速が鈍いのです.エンジン性能の問題が一番ですが,もう少し荷物を減らしたほうが良かったとも思いました.

リカンベントは楽ですか? と何度も聞かれました.ぼくにも良く分かりません.好きだから乗っているのです.ひとつだけはっきりしていることは,尿道が圧迫されることはないということです.サドル付きの自転車に長時間乗った後ではしびれたりして,トイレに行ったときにも痛かったりしませんかぁ.

向かい風はリカンベントに有利?

今回の大会はとても風が強かったです.コースは往復のコースなのですが,往路も復路もの強い横風か向かい風.水田の隣を走ると,風で水田からの水しぶきをうけるほどの強風です.向かい風のときは頑張っても 11 km/h と泣きたくなるような状況でした.
誰かが,リカンベントは向かい風なんかでは有利でしょうなんて事を言っていましたが,たしかに他のなにかと比べたら有利かもしれません.しかしながら何かとの比較でなく,単純に強い向かい風はぼくにとって苦しいということが問題で,一緒に走っている他の人がより苦しくたって,人の苦しみなんぞは知った事ではないのです.

やっとのことで折り返し

80 km ほど走ったところの休憩地点でもう折り返しかと思ったら,なんだかまだ先があるようなのです.そういえば,往路のコースの一部を復路ではショートカットするので,その分だけ折り返し地点は,160 km の半分の 80 km よりは先になるのです.
さらにもう 10 km ほどがんばって,やっと折り返し地点に着きました.折り返し移行は特にチェックポイントがないそうで,来た道を戻ればいいそうです.ただし,往路で走った川沿いのサイクリングロードを川上に遡って,また下ってくるという部分をショートカットします.
一度走ったところを戻るのは GPS の得意なところで,復路は Track Back 機能を使って, GPS によるナビゲーション走行に切り替えました.

ぼくはあまり休憩をとらずにたんたんと走ったのですが,途中でゆっくり休憩しているロードレーサの団体を何度か追い抜きました.しばらくすると,その団体はびゅーんと追い抜いて行って,またしばらくするとどこかで休憩しているって感じでした.

往路よりも復路の方がまわりに人が少なく,ペースも自然とゆっくりになってしまってなかなか前に進みません.はじめに目標タイムを 6 時間などと勘違いしていたのもあって,すでに気合い的には萎えてしまいました.制限時間の 8 時間でゴールできるのかしらという感じです.
途中で聞いた話では,ゴール地点にシャワーがあるそうなのですが,それが 16 時まで.8 時 45 分出発ですから 8 時間走行してゴールしたのでは,シャワーはあきらめなければならなさそうです.

追い掛ける対象があると燃えるのです

ひどい風に苦しめられながら,往路の川沿いのサイクリングロードをショットカットする橋までたどりつきました.坂へのアプローチのゆるり登りを登りきったところで,後ろからロードレーサの集団に飲み込まれました.ここで頑張ってロードレーサの集団の最後にくっつくことにしました.
そこから先は防風林の中を走る道路で,風の影響がなく格段に走りやすくなりました.ロードレーサの集団は 27 km/h から 30 km/h くらいで,お喋りしながら走っているので,余裕をもって流しているような印象です.この条件なら着いて行けないことはないので,ちょっと頑張ってそれについて行く事にしました.かなり長い事その集団に引っ張られて快適に進んで行きました.
しかしゴールが近付くにつれてだんだんスピードが上がって行きます.前を走る人が,腰をサドルから浮かして加速して行きます.これはだめだなと思ったとたん,あっという間に集団からちぎれてしまいました.

制限時間は 8 時間

センチュリーランとは,そもそも 100 マイル (センチュリーマイル / 約 160 km ) を 8 時間以内に走るってルールが基本なのです.時間をみると 8 時間の制限時間には余裕で間に合うけれど,すでにシャワーは無理だろうっていう感じでした.もうゆっくり走ろうということで,残りは単独でゆっくり走りました.

くたくたになってゴール

そしてやっとの事でゴール.
ゴールすると,シャワーを浴びてさっぱりした渡邊真起 さんが待っていてくれました.シャワーはやっぱり終わっていました.

さて会場までは宗像さんになにも考えずに送ってもらったので,仙台駅までの道が分かりません.ここでもやはり GPS をたよりに適当に走って駅まで戻りました.10 km ほどの道でしたが,途中の市街地で路地に迷い込んだ以外は順調でした.

飲んだら乗るな

新幹線に乗る前に,やっぱり牛タン屋に行って食事をしました.駅までは自転車を押して行ってもいいのだからとちょっとビールなんか飲んでみたりして.グラスに一杯飲んだだけでかなりよっぱらいました.しゃっくりがとまらずにとてもつらい思いをしました.飲んだら乗るなって事で、駅まで自転車に乗らず押して歩きましたが,下ハンドルのリカンベントは酔っ払いが押してもまっすぐ進みませんね...

やっぱりお酒はあまり飲まないようにしよう...

そして来年へ

とにかく風が強かった.例年はどうなのでしょう.今年は確かに風が強かったのですが,毎年ある程度風はあるようです.走り終わったときは,もう次回はいいやって思っていたのですが,今は次回はどうやって走ろうかなどと考えはじめています.