雨のしまなみ海道

2000 年 3 月 28 日火曜日

2000 年 3 月 四国 3 泊 4 日の旅:その 2

トレーラを牽引した Sat R Day リカンベント

四国 3 泊 4 日の旅は,飛行機で降り立った高知で始まり,3 月 26 日の四万十川での大会「春・しまんと・ろんぐライド」を経て後半へ.3 月 27 日は移動日.28 日に一日かけて「しまなみ海道」を走る.

今治

3 月 27 日.しまんとの大会の為に集まったリカンベントサイクリングクラブの皆と別れたぼくは,しまなみ海道を走るために,今治に向かった.

宿は今治国際ホテル.本当は今治のサイクリングターミナル「サンライズ糸山」に泊まりたかったのだが予約が取れなかったのだ.国際ホテルには温泉も露店風呂もあるし,大きなホテルの方がかえって自転車を部屋に持ち込むときにも問題が少なかったりする.実際にホテルの人が台車をもってホテルの入口の外まできてくれた.今回トレーラと自転車とで荷物が大変多いので,台車で運んでもらえたのは本当に助かった.

チェックイン後すぐに食事に出掛けることにする.サイクルスポーツの宮内編集長のおすすめのお店「浜勝だ.ホテルの前のタクシーに乗り込んで,浜勝にと言っただけで通じたので助かった.中村を発つときに列車が一緒になった宮内編集長が今治に行くならぜひ行きなさいとすすめてくれて,名刺に紹介文を書いて持たせてくれたのだ.

宮内編集長の知り合いというからどんな人かと思ったら,すっごく若くてかわいい感じの女性であった.なんでも彼女が東京にいたころに語学のスクールで宮内編集長と知り合ったとか.ご主人も海の事や魚のことなどいろいろお話ししてくれて,一人で食事をしなければならなかったその晩は,思いがけずとても楽しい食事ができた.

もちろん料理のほうもとても美味しかった.ご主人の話ではやはり生きている魚と毎日勝負をしている料理人と,死んでいる魚を扱っている料理人では,身につく技術が違ってくるとか.そういう話に感心し,なるほどと思って,おいしい料理を楽しんだ.

翌朝,起きてみるとなかなか良い天気で気持ちが良い.天気予報を見てみると,やはり天気は荒れるようで,一時雷をともなう強い雨となるとも言っている.よくよく予報を検討した結果,大した雨にはならないのではないかと楽観して,7 時半には出発することにした.

翌朝,雲が多いが,青く晴れ間も見えていて,とても気持ちの良い天気だ.今治の駅前のホテルを出発して,とりあえず昨夜お世話になった「浜勝」に向かい,その前で一枚記念撮影.

今治サイクリングターミナル「サンライズ糸山」

まずはサイクリングターミナル「サンライズ糸山」へ向う.そこはレンタル自転車もやっている宿泊施設と言った感じ.ここでサイクリング用のマップをもらう.もっと沢山の自転車な人がいるかと思ったが,今治のサイクリングターミナルではそうでもなかった.走り始めてからもやはり自転車な人とあまり会わなかったのは,天気予報のせいだったのか.それでも朝は気持ちのよい天気で出発できた.

来島海峡大橋-大島

「サンライズ糸山」の前が橋への入口になっている.橋への入口は自動車とは別になっている.自転車では急な坂を登らなくても良いように橋へのアプローチに緩やかなスロープがあるというのがすばらしい

世界初だという 3 連吊橋である来島海峡大橋.じつはこの 3 連のなかの一番今治よりの来島第三大橋が高さ 80 m くらいで一番高いらしい.でもそれへの入口の坂はそうキツクはない.スポーツ車に乗っていればまったく問題ない坂だ.その坂はゆるやかな坂がぐるぐるまわりながら上にあがっていく感じになっている.

サイクリングロードといっても,コースすべてに自転車道が設定されているわけではない.やはり原則は自転車通行可な歩道が「しまなみ海道サイクリングロード」に指定されているという形だ.サイクリングコースに指定されている所は十分に広い.走りやすそうなところではとりあえずサイクリングロードと指定されている歩道を走ることにした.

すばらしい風景の場所をなんてことのない道でつないであるのだが,サイクリングロードの整備はけっこうよい.がんがん走るところではなくてゆっくり走る道だ.トレーラを牽引していても気持ち良く走しることができた.むしろトレーラのおかげでゆったりとした気分で走ることができたとも言える.

大島はではコースは海沿いではない.島の真ん中を通るい国道 317 号沿いにコースがある.そしてやはり雨が降り始める.でも雨具があるので特に問題無い程度だ.途中からコースはまた海岸に沿いになり,次の橋である伯方・大島大橋が見えて来る.

伯方・大島大橋-伯方島

この伯方島がもっとも走行距離が短いのではなかったか.ここらへんでは一度雨もあがり気持ちよく走行できた.

大三島橋-大三島

大三島橋は,特に自転車のレーンが広かった.来島海峡大橋が 4.1 km,伯方・大島大橋が 1.2 km という長さがあるのに,大三島橋はたったの 328 m の短い橋だ.それでもアーチ橋として東洋一の多きさだとか.サイクリングコースは大三島の南側もちょっと通るだけで次の多々羅大橋に着いてしまう.本当は島の北側の方へもサイクリングロードが続いていて寄り道できるよになっている.残念だが今回はそちらはあきらめる事にした.多々羅大橋へのアプローチ付近には道の駅「多々羅しまなみ公園がある.そこでちょっと一休みだ.非常に展望がよくてそこから多々羅大橋が良く見えた.

多々羅大橋-生口島

愛媛県側から世界一の斜張橋である多々羅大橋を渡ると広島県側に入る.生口島では耕三寺の近くの「せとだ水軍丸」という店でゆっくりタコ天定食を味わった.ここまで来ると走行距離も 50 km を越えていて,半分以上走っているのでもう気は楽.ここまでは雨は降っても防水のウェアのおかげであまり問題ならず,しかも食餌をしているうちに止んだようだ.結構余裕を感じて走り始めた時には 14 時半ごろになっていた.

生口橋-因島

一度は止んだ雨も走り始めたらまた振り出した.生口橋が見えてきた頃には,雷の音が聞こえ始める.やばいなぁなんて思っていると,一気に前が見えなくなるほどの強い雨が.せっかく防水のウェアをきているのに,下半身側はぐっしょり濡れてしまった.上半身はテキサポールのしっかりしたジャケットだったが,半身は防水性よりも透湿性に重点をおいたゴアテックスのゴアアクティベントのウェアだった.強い雨でウェアの性能の限界を越えてしまったようだ.それに靴下の上からキャノンデールの防水透湿のオーバーソックスを履いていて,靴が濡れても快適だったのだが,こっちもやはり浸水してしまった.こんなに強い雨は想定していなかったのだ.前も見えない雨では走るのは危険なので,しばし道路の下で雨宿り.しばらくすると落ち着いて雨が弱くなった.

生口橋を渡って因島へ入る.帰りの新幹線の時間には余裕があるとはいってもできれば Sat R Day をスーツケースにパッキングしてしまいたいので,それに十分な時間が欲しい.しかし雨が強くてあまりペースはあがらない.それでもくもくと走るのだが.

幾つかの島を走ったが因島は最低だった.愛媛県側ではあんなに快適だったサイクリングロードも広島側ではそうでもない.普通の歩道がサイクリングロードにしていされているといった感じだ.それでも生口島は歩道も狭くもなく,看板や路面に張りつけられたコース表示シートでコースを見失うことは無かった.が,しかし因島は,サイクリングロードの為に予算を割り当てる気がなかったようで,最低限のコース案内も無くて,もはや地図を見ないでコースをたどるのは不可能だった.自動車用の案内を見て走っていると,橋へのアプローチで自転車が入っていけないインターチェンジになってしまったりするので,それにも注意をしなければならない.今回はそれでも地図を見たり人に道をたずねたりしてサイクリングコースをたどったが,この因島では始めからサイクリングコースなどは無いものと思って,自分で地図を見て行動した方がいいかも.コースそのものも良いコースとは思えなかった.

因島大橋-向島

因島大橋を渡り,因島に分かれを告げる.因島大橋は車道が上,自転車と歩行者,原付は下という構造.しかし自転車と歩行者のレーンは異常に狭くトレーラを引いているぼくはきっと対向自転車が来たり歩行者がいたら安全にすれ違うことは無理という感じ.今回は幸い誰とも会うことはなかったけど.せっかく車道が上にある構造なのに,自転車レーンの上は中央分離帯のために網になているだけで雨をしのげない.自動車の汚れごと滴をうけるなら雨に直接洗われたいかも.

しかしながら一番海を間近に感じられる橋はこの橋だった.下が本当に良く見える.

向島は因島よりもまだ自転車通行可の歩道も広くて走りやすく,案内なども因島よりは多い.でもサイクリングロードとしてはやっぱり広島側より愛媛側の島々のほうが良いみたい.

駅前渡船-尾道

渡ってきた橋の下をくぐってから海岸線を,そして尾道に近くなってくると単に町中を走っている状態になりました.最後の尾道大橋は車道があるだけで,自転車が通るような所は他の橋と違って用意されていないこと,結構交通量が多いこと,そして尾道大橋を渡らなくても渡船が利用できるということ,そういった事前情報があったので,尾道大橋は避けて渡船を使うことにした.

ガソリンスタンドで道を聞いて富浜港フェリー発着所へ.走っていると船がちょうどやってきたところだった.トレーラを引いたままの状態で渡し船に乗り込む.自動車も一台くらい乗りそうだが,自転車と人しか乗せていないようだ.ぼくが乗り込むとすぐに船は動き出した.他の乗客は雨に濡れないように,部屋のなかに入っていったが,ぼくは Sat R Day と一緒に外にいた.その渡し船は尾道駅のホンの目の前まで運んでくれた.本当にあっというまだ.料金もたったの 110 円.めずらしいし風情もあるし,便利だし,これはおすすめ.

尾道駅から福山駅,そして新幹線

17 時ちょっと前には尾道駅に到着.福山駅から東京行きの新幹線に乗るつもりですでに指定席の切符ももっていた.それに乗るにしても尾道駅で 1 時間半ほどの余裕があったので,荷物をトレーラから出して整理して,Sat R Recumbent を分解してトレーラとなっているカールトンのスーツケースに収めることにした.時間のかかる作業だが,時間はたっぷりある.結局 30 分程かかかったが,荷物を整理して,ザックとスーツケースという形に.本来はトレーラのタイヤなども全てばらしてケースにいれるのだが,帰りは飛行機でなく新幹線なので,スーツケースにタイヤのついたトレーラの状態のまま輪行することにした.階段はちょっと面倒でも,引いて歩くのはとっても楽だ.余裕をもって福山駅に移動.駅のトイレで乾いた服に着替えて,靴もサンダルに履きかえた.やっぱりサンダルを持ってきたのは正解だった.

途中下車して食事をとって,それから 19 時 24 分発の東京行きの新幹線に.結局ケースにしまうのなら,帰りも飛行機のほうがあったかなぁなとど考えつつ,新幹線からツーリングレポートをリカンベントサイクリングクラブ宛てにメールする.こうして四国の旅は終わった.

今度は尾道から今治へ走りたい

しまなみ海道 80 km のコースは一日で走るのにちょうどよいくらいの距離かも.ポイントをしぼって何カ所かでゆっくりする事も可能だ.一人で入るのならやっぱりそういうスケジュールだろうか.海岸線などを走るのは楽しいし,つぎつぎに違った橋が現れるので,変化があって面白い.今回は天気が悪かったのでそれも残念だった.次回は仲間を誘って,条件の悪い広島側から走り初めて,しまなみ海道の途中で一泊,今治のサイクリングターミナルでもう一泊といった感じにしたい.折り畳み自転車の BD サイクリングクラブで参加者を募ったらどうなるかなぁ.

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しまなみ海道情報


2000 年 4 月 3 日作成・2000 年 4 月 29 日更新

おのひろき onohiroki@cup.com

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