リカンベント それは未来の乗り物
Greenspeed GTX 16/16 Recumbent Trike #1182
ステアリング機構
ブレーキ
前が 2 輪で後ろが 1 輪のトライクの場合は,ブレーキは前輪だけというものが多いようです.多くのものは右レバーで右前輪の,左レバーで左前輪のブレーキを操作します.
ぼくの GTX は,右側のブレーキレバーが左右の前輪のブレーキ,左側のブレーキレバーがパーキングブレーキで後輪のブレーキを操作できるようになっています.
前輪のブレーキは HOPE の油圧ブレーキになっています.ハンドルの右側のブレーキを引くと,左右の前輪のブレーキが同時にかかるリンク式になっています.レバーからオイルラインが右前輪のブレーキキャリパーに繋がり,右側のブレーキキャリパーから左側のブレーキキャリパーへ,別のオイルラインで接続されています.
このように左右がリンクしているブレーキは便利な点もありますが,ブレーキはできれば独立した 2 系統があるほうがより安全ではないかという議論があります.ぼくのものは前輪側と独立して後輪側のブレーキがあります.
パーキングブレーキ
日本の法令では自転車の制動装置は,前側と後側にそれぞれついていなければならないようです.
前車輪及び後車輪を制動すること。
分割フレーム
ギア
Greenspeed のトライクでは内装ギアが標準です.Greenspeed の最近のモデルの後輪は 20 インチ (406) が標準で GTX など一部が 16 インチ (349) を採用しています.後輪が小さいとホイールベースを短くでき,ホイールの強度もあがります.内装ハブギアがあるからこそ,小さな後輪でも無理のないギア比の幅が得られるのです.
ぼくの GTX にも DualDrive という内装 3 段,外装 9 段のギアを入れる予定でしたが,手違いで DualDrive が入っていませんでした.
結果として,前側が 57T と 42T のダブル,後側が 11T から 32T の 9 段の 9 x 2 の 18 段になっています.サーキット走行などでは 前 57T と 後 11T の組み合わせでは,もうちょっと重いギアが欲しいと感じることもありましたが,通常はこれで足りそうな気もします.
小さいホイール
Greenspeed は 1994 年に GRT 20/26 を GTR 20/20 で置き換えて以来,標準のタイヤは前後 20 インチです.Greenspeed は小径ホイールのほうが大きな径のホイールよりもメリットがあるとしています.以前,道が悪かった時には大きなホイールには意味があったけど,舗装路では大きい必要な無く,タイヤについても最近は 26 インチや 700C に負けない性能の良いタイヤが 20 インチや 16 インチで手に入るようになりました.トライクではコーナリング中にホイールに横方向の力が加わりますが,径が小さい方がそれによる影響が小さくなるし,より丈夫なホイールが作れるそうです. また前輪が小さいと,前輪を切った時のライダーとの干渉の問題が少なくなり,より幅が小さいトライクを作る事ができます.またブレーキを操作した時のハンドリングへの影響も小さくなるそうです.
もちろん車輪が小さい方が空気抵抗が小さくなるのですが,トライクの前輪ではその効果が大きい事になります.
- trikes メーリングリストのアーカイブより:
ライトとダイナモ
後輪側に Busch & Muller のダイナモが取り付けられています.そこから Busch & Muller Lumotec oval plus 前照灯とリアラックに取り付けられた Busch & Muller の尾灯に電力を供給します.
リアラックにマウントされた Busch & Muller の尾灯にはリフレクタもついています. その他に,左右の前輪の泥よけの後ろ側にも赤いリフレクタがついています.また電池で赤色 LED が点滅するライトもついてきました.これはシートの背もたれの部分の左右どちらかにマウントするようになっていました.
比較
カタログスペックとの比較
GLR との比較
- GLR より全幅,トラック幅が狭い
- GLR より全長が短い
- GLR より地面との隙間が大きい
- GLR よりシート角が立っている
GLR は普通に車道を走っていても底をすることがあるそうです.ハンドルバーなどステアリング機構が,フレームの下に配置されているために地面との隙間は 4 cm ほどしかありません.主にレース用として開発された GLR はそれで良いはずですが,ユーザからはレース用だけでなくもっと広い用途で使いたいと要望があったようです.Greenspeed は全幅が狭く空気抵抗を低減したスポーツトライクである GLR 良いところを残しつつ,ステアリング機構の配置の見直しで地面との隙間を 6 cm に増やし,全幅と全長もさらに短くした GTX を新たに開発したのでした.
GLR のシート角は 20 度ですが GTX は 25 度.ややシートが立っています.それによってより前方が見やすくなり,小さくなった前輪がより前に配置できるようになって全長が短くなっています.
GTO との比較
- GTO より全幅,トラック幅が狭い
- GTO よりハンドルの切れ角が小さい
- GTO よりも回転半径が大きく,GTO ほど小回りがきかない
- GTO より高さが低い
GTO は標準で分割フレームを採用するツーリングトライクです.GTO は標準的な横幅ですが,GTX や GLR と比べるとかなり横幅が大きいです.しかしながら全長は短めで,ハンドルの切れ角も大きいので,小回りが効きます.
シート角が 40 度とかなり立っているので,前方の視界も良いですし,ツーリング時には十分景色を楽しむ事ができるでしょう.GLR や GTX でのツーリングは下手をするとガードレールばっかり見ていたと言う事になりかねませんから.
Windcheetah との比較
Windcheetah は英国製のトライクの名車です.Greenspeed も比較的高価ですが,Windcheetah はもっと高価です.
Windcheetah はかなり全幅が小さく GLR やぼくの GTX よりもさらに狭い幅になっています.
シートはやや立っていて,GLR のように極端に寝た姿勢ではありません.
Greenspeed のシートがフレームにメッシュをはった構造なのに対して,Windcheetah のシートはカーボン製のバケットシートにクッションを貼付けた構造で高級感があります.
コーナリング中に遠心力で身体が横に持って行かれる時に,Windcheetah の薄いカーボンのバケットシートでは体重を支えることができません.Greenspeed では,シートの固いフレームがあるので,脇を閉めてひじでシートのフレームを押さえ込むと,体を固定する事ができました.
その点で,フレームにメッシュを張ったタイプのアメリカンシートよりもよりホールド感の薄い,板にクッションを貼付けたヨーロピアンシートを採用している ICE Trice Micro なんかはどうなのでしょう.
トライクはちょっとしたハンドル操作で敏感に反応するように思います.Windcheetah はそれが顕著です.ジョイスティックのようなもので操作するのですがとてもシビアです.Greenspeed のハンドルは,シートの下側からのびたハンドルバーが,グリップする部分が垂直になるように曲がっているタイプで,より安定したハンドリングです.
Windcheetah のジョイスティックのようなステアリングは,腕を体の前にしっかりとくっつけた状態で操作できるので,空気抵抗を小さく抑える事ができているのだと思います.
Windcheetah の後輪は 26 インチと大きなホイールです.Windcheetah は 80 年代初頭に出てきました.
走ってみて ( 納車から 1 か月未満 )
5 月 4 日にオレンジサイクルフェスタでサーキット走行を行って
多摩川サイクリングロードを走ってみて
サイクリングロードには,エンジン付きの車両などが入ってこないように柵があったりするのですが,多摩川サイクリングロードは,狭い柵が比較的沢山配置されています.荒川サイクリングロードよりは柵が多いですが,江戸川サイクリングロードの柵の様にめちゃくちゃ狭くもありません.
多摩川サイクリングロードをトライクで走るなら,全幅は 80 cm 未満でないとかなりストレスがあると思います.ぼくの GTX では一部でぎりぎりってところがありますが,減速して特に問題なく通過できました.
サイクリングロードの幅も狭いので,歩行者などにはより多くの注意が必要で,ライダーには譲り合いの精神が必要です.
でもガス橋から府中くらいまでの間を走ってみましたが,特に問題なく楽しく走ることができました.
南会津を走ってみて
都内の幹線道路を走ってみて
自動車からどのくらい見えているのか不安があります.車道走行での不安は主に低い姿勢からくる者で,幅があることでのデメリットはまったく感じません.普段からどうどうと車道を走っていて,道路の端を走っているわけではないのですから,ちょっとくらい車幅があっても変わらないです.
それでもすり抜けはする気になれません.これも幅の問題よりも,自動車の運転手からは見えないであろうことから,いつ走り出すか分からない自動車の横につくのに不安を感じます.
車道で赤信号などで停車する時は,自動車の横に並ばずに自動車の後ろについています.
多摩川の河川敷を走ってみて
アスファルト鋪装されていない土の道を走る機会がありました.乾燥した日で前の自転車が巻き上げる土ぼこりが低姿勢のぼくに降り掛かります.
サドルにまたがるアップライトな自転車では,頭の位置がかなり高いので,他の自転車が巻き上げる土ぼこりが問題になる事はないようなのですが,ぼくはかなり頭の位置が低いので,先行する自転車が巻き上げる土ぼこりを避けるためには,かなり車間をとらないとなりませんでした.
Greenspeed GTX 日誌
GREENSPEED Links
Greenspeed Recumbent Trikes (英語)
http://www.greenspeed.com.au/CYCLETECH. IKD
Greenspeed の日本代理店Greenspeed GTO と GTX ( うっきーさんの 2003 年オレンジサイクルフェスタ )
http://yana.pekori.jp/cycle/repo/3051ore/gto-gtx.html
ぼくの GTX とプーさんの GTOGreenspeed GTO 16/19 ( うっきーさんの 出走車両〜トライク編〜 2002 年オレンジサイクルフェスタ )
http://yana.pekori.jp/cycle/repo/2051orenge/orange01.html
SHIG さんの GTO 16/19Greenspeed GTO (小林さん)
http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/kobayashi/personal/bent/gto/GreenSpeed Owner's ( きのしたさん )
http://www.tt.rim.or.jp/ ̄kino/owner/GreenSpeedOwner.html