2000 年 9 月 30 日 / 10 月 1 日
参加者の一人 吉田信生さんのツーリングレポートが BD サイクリングクラブに投稿されました.その投稿されたツーリングレポート[BD cycling:03768]をここに web ページとして公開します.XHTML 化とレイアウトは おのひろき が行いました.
○ はじめに
吉田信生@ BD-3 です。
こんにちわ。
麦草峠アタック 2000 参加の皆さんお疲れさまでした。
私は、初日の麦草峠で全てを使い果してしまい、二日目は早々に電車で帰らせていただきましたが、野辺山〜小淵沢はいかがでしたでしょうか。私は、就職してから特に運動する事もなく、仕事もプログラマとして座席の前で端末に向かっているので、もう、運動らしい運動なんてほとんどしてません。そんな中7月の終りに BD-3 を購入し、今までに全然アップダウンのないサイクリングロードを中心に500km程走りました。そんな状況での参加です。
○ 出発 (標高は850mくらいなのかな)
茅野駅を出発して、まずコンビニを目指したのですが、実は、この段階でなだらかな坂を登って行く事になります。いきなり私は、既に皆のペースについていけない(笑)。なだらかとはいえ坂は坂。平坦な道とは感覚が全然違います。コンビニに着いた時、私は心の中では最早途中棄権は決定事項で、どこで引き返そうかなどと考え始めていました。
○ 標高900m 〜もうだめだぁ〜
コンビニを出発すると、HIDE さん達は先行し素晴らしいペースでどんどん登っていきます。私はもうこの段階で結構ダメダメで、どのギアでどんなペースでいけば良いのかも全然分かりません。それでも、前に、おのさん、いっとくさん、須藤さんが、多分私のペースに合わせてゆっくり登っていっているので、それについていこうとしたのですが、それにもついていけない。標高900mのあたりで、牧場の入口(?)で皆さんが待っていて下さって、休憩した時には、「もう引き返します〜。」という言葉が喉元まで出かかっていました。この時、須藤さんに、「ゆっくりいけば良いから、ゆっくり」と云ってもらえなかったら、きっと、ここで私の麦草峠は終っていたでしょう。
# でも、よくよく考えたら、まだ全然麦草峠に入っていないですね(笑)
で、ここからはもうゆっくりペースです。もう、絶対皆のペースにはついていけないので、迷惑のかけついでに自分で登れそうなペースで登る事を決意(笑)し、トロトロと登り始めました。
○ 麦草峠入口(?)
ゆっくりゆっくり登っていくと、前方の渓谷にかかっている橋で、おのさん達が待っていてくれてます。おのさん曰く、
「ここからは、厳しくなる一方ですよ。」ガビーン。しかし、無謀にも、またや、まだ登るという選択肢を選び、登り続ける事にします。この段階ではまだ一番軽いギアじゃなかったのですが、今考えると、もっと軽いギアでここまで来てれば良かったかも。
少し休憩して出発。ここからは、道も山の中といった感じで良い雰囲気です。
○ 広葉樹から新葉樹へ
山の中を一番軽いギアでゆっくり登っていきます。私は携帯電話という文明の利器を持たない人なので、おのさんが私の追い付いてくるのを待っていて下さり、それが結構励みになり、結構登っていけます。(ちなみに、おのさん GPS 計測で時速 3km くらい(笑)) いっとくさんや須藤さんは様子見(?)に一度登った道を私の辺りまで降りて来たりしてます(凄すぎ!!)。
とにかく、一番軽いギアで、絶対無理をせず、ゆっくり足を回せばそれほど疲れない事が分かってきて、ちょっとだけ周りを見る余裕が出てきました。おのさんに言われて気がついたのですが、植生が広葉樹から新葉樹へ移り変わりつつあります。この時は、本当に峠を登っているんだなと実感して、少し感動してしまいました。
○ 標高1600m 〜雨が降って来た〜
茅野駅についた頃は晴れていたのですが、標高1600mあたりで本格的に雨が降ってきました。私は、雨用の装備はゴアテックスのレインウェア(前日に入手した多分登山用の物)しか用意していないのですが、おのさん、いっとくさん、須藤さんは凄い。靴用のシューズカバーやそれを足首に止める為のビニールテープ、ゴアテックスのソックス、フロントバック用のレインカバーなど完璧です。自分一人で走っていると、全然こういった物があるなどの知識が入って来ないですが、今回のようにツーリング・エキスパートがたくさんいると、いろんな知識を得る事が出来て良いです。しかも、素人は私一人なので、先生がたくさんいる状態で贅沢ですね。
とりあえず、雨用の装備を身に着け、出発です。ちなみにこの段階では、一緒に出発して、一分もすると前方に誰も見えなくなってしまうのが、私のペースだったりします(笑)。
○ ゲート(標高1900mくらいかな?)
雨の中をゆっくりゆっくり登っていきます。いっとくさんに長く走って長く休むと体が冷えてしまうので、ちょっと走って、ちょっと休んだ方が良いよ、と教わったので、その通りに登っていきます。雨が浸みる事も蒸れる事もなく私なりに良い感じで登っていきます。すると、冬には閉まるゲートで、おのさん達が待って下さってます。待っている事が分かってもペースをあげる事は出来ないのですが…。
ゲートに着くと、おのさん曰く、
「ゲートを越えると更に厳しくなるよ。」
ガビーンと衝撃を受けつつ、またも無謀にも登る方を選択する私。と、ゲートのところで休憩していると、HIDE さん達が降りてきます。聞けば、もう頂上を征して降りてきたとの事。すごい〜。
名古屋に帰る HIDE さん達と別れて、ゲートを越え頂上を目指します。
# ん〜、ここの段階では頂上を目指していたのかなぁ。これくらい登ったから
# もういつ引き返しても良いと自分に許していた気がする(笑)。ただ、ゆっく
# り登れば登れると思い始めたのもここら辺だったような気が。それは間違い
# だったけど(笑)○ 標高2000m 〜引き返しちゃダメよ〜
ゲートを越えてからは、それまでより傾斜がきつくなり(当社比)、ゆっくりのぼっていってももう非常に厳しくなってきます。おのさんの、「インベタに登ると傾斜がきついから車の来ていない時は道の真中を走った方が楽だよ。」とのアドバイスを受け、傾斜ができるだけゆるいように登っていきます。多分、この時点でほぼ限界であったのだろうけど、2000mの標識を見てしまうと、後少しなんだからと、自分が自分に引き返す事を許可してくれない状態になってます。「引き返して良い?」「ダメ!」「素人がいきなり峠なんて無理だったんだよ!」なんて言葉が頭の中をぐるぐるしてます。それでも、あの標識までは、その標識に着けば、次の標識までは、と、きっと50m進んでは一分休むようなペースで登っていきます。
○ 頂上 〜感動〜
頂上付近になると、傾斜がなだらかになり、道がほぼ平になって来ます。登った今は頂上付近が平だと分かっていますが、登っている最中は、「この平らな道の後に登りがあったら耐えられないけど、連絡手段がないから、おのさんがいるところまでは行かなくては。」とか、「私のために、宿の夕飯に間に合わなかったらどうしよう。」とか考えながら走ります。平らな道は楽な分余計な事を考えてしまいます。
霧の中、走っていると、前方から声が聞こえます。そう、どうやら頂上にたどり着いたようです。もう、無茶苦茶感動しました。絶対だどり着けないと思っていたのですが、おのさん、いっとくさん、須藤さんのおかげで頂上にたどり着く事が出来ました。雨で顔はビシャビシャでしたが、きっと泣いていた事でしょう。その涙が、感動ゆえか苦しさゆえかは微妙でしょうが(笑)
頂上で食べた、暖かいカレーライスはむちゃくちゃ美味しかったです。
○ 寒くても楽しい下り
下りは、さすがに手が冷たく寒かったですが、楽しかったです。もう、自転車ってこんなにスピードが出るんだって感じで。雨が顔に当たっていたいんですけど、それも、出てるスピードの証って感じで、もう、良い感じです。
5時間くらいかけて登ったのを1時間程で降りたわけですが、すっごく楽しめました。
○ 自走で野辺山まではいけないです〜。
さて、結構早めに降りられたので、野辺山まで自走しましょうかなんて話が出たのですが、
「もう走れません」そう、さすがに私には、それだけの体力も、筋力も残されてはいませんでした。そこで、駅まで行って輪行となるのですが、駅までの僅かな距離のなかにあるほんのちょっとの坂の苦しい事。本当に麦草峠で使い果してしまったんですね。
○ 最後に
麦草峠、苦しかったけど楽しかったです。一人なら絶対登り切れなかったと思います。まだ、ろくにサイクリングをした事も無く、サドルの高さや自分のペース、補給食や休憩のタイミングや走り方も全然分からず、口を開けば愚痴しか出ないような私に、適切なアドバイスや励ましをくれた、おのさんいっとくさん、須藤さん、どうもありがとうございました。なんか、自転車が更に好きになれたような気がします。
思えば、日常の足が欲しいと思い、電車に持っていけるような自転車が欲しいと思い、インターネットで"折り畳み自転車"で検索をかけたのがはじまりでした。
おのさんやいっとくさんのツーリングレポートを読み、峠にツーリングにも行ってみたいと思い、このメーリングリストで BD-1 と BD-3 のどちらが良いか助言を受け、BD-3 を購入しました。
麦草峠は、BD-3 の一番軽いギアで登ったのですが(もっと軽いギアが欲しいかも)、BD-1 だったら登り切れなかったような気がします。これで、BD-1と BD-3 の価格差は私にとっては納得です。価格差以上に役に立ってくれました。
また、機会があれば是非峠に登ってみたいと思います。
# もうちょっと体を鍛えなくちゃですね。
2000 年 11 月 16 日更新