2003 年 11 月の履歴(もしくは日誌)


2003 年 11 月

11 月 7 日 コミュニティ

コミュニティの運営

Internet 上でのコミュニティ,つまりメーリングリストや Web 掲示板などの仕組みを介してやりとりを行う集団もしくは社会といったものとメーリングリストについて.

semblog-dev にメーリングリスト (ML) のコミュニティについての考察がありました.ここでは,メーリングリストは,コミュニティを運営する仕組みとしては全く向いていないのではないかという意見が述べられています:

要するに,後入りにとってはいついかなる場合においても後入りであることを自覚させられてしまう.一方で生え抜きの人にはそんな屈託はなくて,自分の場として自由に振る舞うことができる.その差は大きいし埋まりようがない.

引用終わり.

確かに,コミュニティを運営する上で,後から入ってくる人に配慮することはとても重要だと思います.もし,ある程度の規模のコミュニティを運営することを考えたら,常にある一定の割合で,新しい人が入ってくるのが必須です.健全な状態は,常連で活発だった人が静かになるのと,新しく入って来た人が積極的に参加してくるのとが,適当なバランスをとった状態だと思います.

あと,コミュニティを考えるときに,少人数で気楽にやりとりをする比較的閉鎖的なものと,より大人数でやりとりを行い,その分だけ気楽さにかけるけど,より開放的なものの 2 つがあると思います.どちらが良い悪いではなく別のものだと思うのです.

後から入って来た人のために配慮が重要なのは,後者のより大人数で開放的なものを目指す場合でしょう.

後から入ってきた人のための配慮というと,まずは話題や言葉使いが内輪受けにならないように配慮することだと思います.

ぼくはメーリングリストを運営していますが,気楽で楽しげな雰囲気を少し犠牲にしても,より大人数で,開放的なものを目指そうと思って運営しています.だから伏せ字や隠語を使う事を禁止して,略字を使うのを極力避けるというルールを作っています.

伏せ字や隠語を使うのは楽しくても,中に入れない人には閉鎖的な印象を与えますし,略字も一部の人にはわかってもわからない人にはわからないからです.そういう分からない事を,コミュニティの過去のやり取りの記録をひもとく事で解決しなければならないなら,かなりの障壁になるはずです.

もちろんコミュニケーションで使うツールによって,そのような障壁をより感じさせない工夫もできるのかもしれません.でも伏せ字や隠語の使用を避ける事や,略字の使用の制限,誰にでも分かるような文章を書く事をなどに配慮するほうが,本質的だと思います.

先日ぼくが運営しているメーリングリスト「リカンベント サイクリングクラブ メーリングリスト」のメンバーで,東京国際自転車展で,リカンベントという自転車の試乗会を行いました.そこに集まったメンバーは,比較的新しいメンバーが多く,メーリングリストができた当時から参加している人はあまりいませんでした.比較的新しいメンバーの人は,とくに後入りだという事を意識していないのだろうと思います.もしくはあまり後入りというのを意識しない人が積極的に活動に加わっているのか.

コミュニティの運営で後入りの人への配慮はとても重要であるのは確かですが,後入りへの配慮はコミュニケーションを行うツールの機能が支配的なのではなく,むしろどのような文章を書くか,その指針やルールをどのように設定するかの方が大切なのではないかと思います.そして後入りの人への配慮とは,そのコミュニティで積極的に発言をせず,静かに読むだけの人の存在を大切にする事と一緒のことなのではないかと思います.

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