2005 年 8 月の履歴(もしくは日誌)


2005 年 8 月

8 月 9 日

ネットワーク上での弱い繋がりによる,なんとなくコミュニティについて

以前はネットワークコミュニティを作るにしても,ある程度の制約があり,気楽にばんばん作るという感じではありませんでした.NIFTY-Serveフォーラムとか会議室とか.それに fj.* とかだって. 制約があったから既存のものがあればそれを使うというのは自然であり,結果としてある程度の大きさに集約していたのではないかと思います.それが Web で CGI を利用した掲示板が利用されるようになったり,無料のメーリングリスト サービスなんかが利用できるようになって,コミュニティを作る際の障壁が小さくなり,より気楽に小さなコミュニティを始めることができるようになりました.もっとも気楽にコミュニティを始める事ができても継続するのはまた別の難しさがあるのですが.

Weblog もしくはブログが流行っていると言われるようになって,発言の場が小さなコミュニティから,個々のページにさらに分散して行ったようにも感じます.Web での掲示板では人が集まらないと成り立た無かったのが,Weblog なら一人でたんたんと続ける事ができて,コメント欄にコメントを書いてもらう事もできます.なにか話題を投げて,それについて反応があったり無かったりだとして,もし Web 掲示板とかメーリングリストであれば,寂しい雰囲気で続けて行くのが辛そうですが,Weblog ならそれが自然な形だし,とりあえず時々更新すればあまり寂しい感じもしませんね.

些細なことを気楽に発言して,ときどき反応も欲しいくらいの気持ちなら,掲示板とかメーリングリストに書き込むよりも Weblog のほうが向いているようにも思います.

こうして,比較的大きな仕組みのコミュニティから小さいコミュニティ,個々の Weblog 間での弱いつながりっていう感じで,はやりが動いているように感じます.

ソーシャル・ネットワーク・サービスってのはなにかというのを考えてみると,日本で人気があるのは mixi ですが,mixi の日記にしても,mixi のコミュニティにしても,個々の間の弱いつながりでなりたっているような感じがします.知人をいろいろ登録してもそれらの知人とのつながりなんてあるかどうかわからず,日記のコメント欄こそが,メンバー間のつながりを確認する仕組みになっているという状態.コミュニティもそもそも大きな仕組みのコミュニティなど期待されていなくて,似たような小さなコミュニティが沢山出来て分散して行く.いや,mixi がソーシャル・ネットワーク・サービスなのかどうかはさておき,mixi ってそういう仕組みとして動いているように見えます.

「個々の Weblog 間での弱いつながり」ってところを思うと,一番それが具現化されているのは,はてなダイアリーなのかなとも思います.はてなダイアリーでは,メンバーは名前やハンドルではなくて,アカウント ID で個々を認識しています.あれははたからみると奇妙な感じですね.はてなアンテナなどで他の人のはてなダイアリーを登録したりして,なんとなく繋がりを感じるけど,はっきりした繋がりが確かめられないような,弱い繋がり.そういう意味で,いろいろなサービスを展開するのに積極的な「はてな」ですが,mixi みたいな形のソーシャル・ネットワーク・サービスを今更やる必要はないのでしょうな.

弱い繋がりを作ったり感じさせたりするツールとして,はてなブックマークはうまく動いているのかも.

更新時刻情報を含んだリンク集である いわゆる「アンテナ」は昔からそういう弱い繋がりを具現化するツールとしての意味もあったと思う.

弱い繋がりを作ったり感じさせたりするツールって,他にはどんなものがあるだろうか.

なんとなく思ったことをつらつら書いてみました.

http://onohiroki.cycling.jp/tb/tb.cgi/weblog_d20050809n1 TrackBack