2001 年 5 月 19, 20 日
ぼくのお気に入りで通っている宿が長野県の野辺山高原にある.
旅人宿「こっつぁんち」.料金が安くて料理がおいしい.男女別相部屋制のそこは一人旅に慣れた人の利用が多い.そんな人は北海道を旅するのが大好きな人が多く,同じ様な仕組みの宿のネットワーク「とほ」の宿を良く利用していてるようだ.「とほ宿」はほとんど北海道にあるのだが,「こっつぁんち」のように信州にぽつんとあったりする.
その「こっつぁんち」の春のイベントが「たらの芽」パーティだ.宿の主人「こっつぁん」が近くのたらの芽スポットを案内してくれて,皆でたらの芽などの山菜を採る.宿にもどるとこっつぁんの奥さん「うまちゃん」がてんぷらの準備をして待っている.採ってきて宿に戻ってすぐにてんぷら.毎年たらの芽は食べきれないほどになる.皆で均等に分配してお土産として持ち帰る.
毎年これを楽しみにしている.去年は宿の予約をするのを忘れていて,直前になって宿に連絡したらもう予約がいっぱいでダメだったのだ.今年はその反省もあってはやばやと予約をした.
今回の自転車は Brompton.BD-1 にして麦草峠を走るってのも良かったのだが,BD-1 は調整不足.MTB で土曜日には富士見パノラマスキー場で遊ぶのも良いのだが,あまりお金を使いたくない(笑).Sat R Day リカンベントでも良かったが,今回はなんとなくお気楽・身軽で出掛けたかったので,最も気楽に輪行できる Brompton にした.
身軽になどといいつつ Brompton のフロントパニアにはなぜか iBook を詰め込んだりして.
はじめから特急を使うつもりはなく,JR ホリデー快速ビューやまなし号を使うつもりだった.この列車はいつでも空いているし,今の季節は特急は登山愛好家でめろめろに混んでいそうな予感もあった.近年の登山愛好家は貧乏青年ばかりでなく,余裕のある人が多いので特急は自由席ばかりでなく指定席もいっぱいになったりする.場合によっては自転車の持ち込みが困難になることも.
朝,最寄りの駅で切符を買う.野辺山までだと往復切符を買っても安くならないが,2 デーパスという 2 日間指定区間内乗り降り自由という企画切符だと数百円安いという.その 2 デーパスを買うことにした.6, 120 円.
南武線で立川駅へ.立川駅からホリデー快速ビューやまなし号に乗り込む.やはり特急や普通列車よりも明らかに空いている.便利な列車である.それでも東京発の列車に立川から乗るので,どこでも自由に座れるわけではない.全車両 2 階建てだが,1 階は人気がなく空いている.空いているボックス席が幾つかある.その一つを選んで足をのばして座る.やはり空いているのはいい.
せっかく区間内乗り降り自由の切符なので何処かで寄り道したいところだ.
ビューやまなし号は小淵沢までだが,そこで乗り換えて上諏訪駅まで行って,諏訪湖を一周してみるのもいいかもしれない.諏訪湖は一周しても 20 km もないようだ.他の自転車ででかけてきたら,どこかの峠に登ろうという発想になるところだが,Brompton でふらふらお散歩気分で走るのであれば,諏訪湖一周なんて良さそうだ.
諏訪湖を一周する事に決めて,小淵沢から松本行きの普通列車に乗り換える.駅に温泉があるのは上諏訪駅で良かっただろうか? 上諏訪駅には確かに温泉があった.ここで下車する.ここから一周して,温泉に入ってから帰ることにする.適当な温泉が見付からなくても駅に温泉があるんだし...
さっそく Brompton で湖畔の道を走り始める.サイクリングロードが整備されているのかと思ったら,そうではなかった.なんと「ジョギングロード」が独立したレーンとしてあり,自転車歩行車道と別になっていた.なんでそんなにジョギングに力を入れてしまったのか.自転車で走っている人と歩行者はいるけれど,ジョギングしている人は見かけなかった.
レンタルサイクルがあったのでのぞいてみたが,スポーツ車ではなく,お買い物用の自転車が 1 時間 1000 円,2 時間 2 千円.そして二人乗り用タンデム自転車がその倍額.高い,高いぞ...
下諏訪から上諏訪あたりは,そのように湖畔の道が整備されていて,自転車歩行車道にしても走りにくくはなかった.Brompton でゆっくり走る.
途中でなぜか蒸気機関車が野外に展示してあった.
岡谷までくるとあまり湖畔の道路の整備は良くない.単に歩道があるという感じだ.湖畔にある公園も,ブランコや滑り台があるので公園だと認識できる程度で,雑草が繁って荒れている.諏訪に近づくとまたジョギングロードが現れた.
諏訪湖は 1 周しても 20 km もない.1 時間 20 分ほど走って一周してしまった.
日はずっとさんさんと照っているのに,途中何度もぱらぱらの雨が.雨具を出すほどの雨ではなかったが,いつ本格的に降り出すかと心配した.
上諏訪で温泉に入ろうと思ったが,もう何度も片倉館には行っているのでどこか別の場所に行きたい.駅の温泉も利用した事はあるし.そこで駅前でもらった周辺地図に載っていた温泉を探して入ってみることにした.それは NTT と郵便局の近くにあると分かったのだが,周辺を 2 周ほどしても分からない.注意深く見てみると,それは何げないビルにあった.普通のビルに男湯と女湯の入口がある.
温泉は昔の銭湯のような感じ.250 円払う.Brompton は畳んで脱衣所に.ぼくしか利用者はいないようだ.ずいぶんこじんまりとしているなって思ったが,風呂は 4 人分しか洗い場のない,本当にこじんまりとしたものだった.それでも誰も他にいないので,なんか贅沢な気分だ.
上諏訪駅に戻り,16:20 発の電車で小淵沢に.そこから小海線に乗り換えて野辺山駅に.17:40 に野辺山駅についた.そこから Brompton でちょっと走って宿に到着.自転車はいつものように畳んで玄関の脇に置かせてもらった.
その夜のお客は皆「とほ宿」になれた人ばかり.夕食が終わると持ち込みの酒類がこたつの上に並ぶ.ビール,焼酎,日本酒.ギターが 3 つ引っ張り出されてきて,あやしい替え歌やらなんだか良く分からない古い歌が歌われる.こっつぁんもギターをかかえてごきげんだ.23 時すぎにはいびきをかく人もでてきた.ぼくは早めに部屋にひっこんで寝ることに.普段は飲まないのだが,目の前にならんだ何種類かの日本酒を味見したかったのだ.それでちょっと飲んだらとたんに眠くなった(笑).
翌日の日曜日も非常に良い天気.朝食をとり,朝 9 時出発で山菜採りだ.これは宿の企画なので今回の宿泊客のほとんどが参加だ.なんでも今年はたらの成長が早くて,もうすでに一番良い時期は過ぎてしまっているとか.
それでも皆で山に入った.元気の良い人達はたらの芽を求めて山の中を駆けずり回り,そうでない人は比較的歩きやすい斜面などでわらび採り.ぼくは始めは駆けずり回っていたのだが,今年はあまりたらの芽が良くないなぁっと感じて,途中からお気楽わらび採り隊に合流しました.
山から戻って,さっそくてんぷらの準備.うまちゃんが揚げるてんぷらをはじから食べる.事前に採ってあったたらの芽もあったので,今年もお腹いっぱいにたらの芽を食べることができた.今年はうどのてんぷらが強く印象に残った.癖が強くて沢山食べるものではないけど,香りがいいんだな.
たらの芽を食べて,お腹いっぱい.ちょっとだけ休憩をとって,帰ることに.何度も走った八ヶ岳有料道路.多少の上り下りもあるけれど,Brompton でもへっちゃらさって感じで走り始めた.実は夏に清里で行われるシマノの MTB の大会にエントリーしているので,会場になる「キッツメドウズ大泉・清里」に途中で寄り道.宿から会場までどのくらい時間がかかるのか確かめておくのだ.国道 141 号線を JR 最高地点から下りて行って,学校寮入口から美し森交差点までの登りがけっこうあるのだが,今回は美し森交差点を右に折れてさらに登っていった.キッツメドウズの入口までたどり着いたところで時計で確認すると 50 分ほどだった.Brompton で 50 分だから MTB でも同じ位でたどりつくことができるだろう.さすがに登り坂はきつくて Brompton のフロントをトリプルに交換してあるのが役になった.
キッツメドウズを後にして,一気に小淵沢に.まだ少し時間があったのでいつもの「延命の湯」に入る.その後 JR 小淵沢駅まで下って行き,そこから輪行.帰りの列車も「ホリデー快速ビューやまなし号」だ.
今回の主な目的は「たらの芽のてんぷらを食べる事」だった.それでも Brompton を持っていくだけで,公道範囲が広がるし,楽しむことができる.いやぁやっぱり Brompton はいいなぁ.