2005 年 1 月の履歴(もしくは日誌)


2005 年 1 月

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1 月 14 日

Bike Friday のタンデムのパーツ選択

Bike Friday のタンデムを買うとしたら,パーツはどうしたら良いでしょうか.昨夜いろいろ考えた事を,もう一度ここにまとめてみます.

まずブレーキです.

リムブレーキでもマウンテンバイク用の V ブレーキで十分な制動力が得られると思います.

タンデムでは,前輪と後輪の通常のブレーキの他に,さらに補助ブレーキとしてドラムブレーキを追加することがあります.これは下り坂でもスピードが出過ぎないようにする為のものです.通常のブレーキレバーの代わりにバーエンドシフターを流用して,ブレーキをある程度ひいたままで固定して,ブレーキをひきずった状態で坂を下ります.こうした用途にドラムブレーキが使われるのは,ドラムブレーキが熱に強いからです.リムブレーキをひきずったまま長い下り坂を降りると,リムが熱を持って,その熱のためにパンクしてしまう事があります.ディスクブレーキでもあまり熱が出たときには,ブレーキによってはブレーキが完全にロックしてしまって走行できなくなることもありますし,またはブレーキの樹脂パーツが溶けてしまってトラブルになったりします.

タンデム自転車では 1 人乗りの自転車と比べたら重量があるために,ブレーキの発生する熱が問題になるのです.

ブレーキとは運動エネルギーを熱エネルギーに変換する装置であり,重いほど運動エネルギーが大きくなり,ブレーキが発する熱も大きくなります.

では,ドラムブレーキの補助ブレーキが必須かというと,それは乗り方に依存します.リムブレーキだけの場合もディスクブレーキだけの場合も,長い下り坂では時々停車しブレーキが冷えるまで休憩すれば良いのです.それが一番安全でしょう.

ただ,補助ブレーキがあればより楽であることは間違いありません.追加すればコストと重量があがりますが,どちらもあまり問題でないなら追加したほうが良いでしょうね.

ディスクブレーキの場合はリムが暖まることがないのでより有利ですが,それでもドラムブレーキと同じように使うわけには行かないです.リムブレーキと比較すると雨天走行でも変わらない制動力が得られるので,ぼくは好きです.ViewPoint タンデムもディスクブレーキですが,ブレーキには満足しています.最近はロードレーサで使われるブレーキレバーに対応したディスクブレーキもあるので,シマノ STI デュアルコントロールレバーとディスクブレーキという組み合わせでも何も問題ありません.

Bike Friday のタンデムは注文時に指定すれば,ディスクブレーキにもなります.ただし Tandem Two'sDay をひとつのケースにつめこみたいときは,ディスクブレーキだと無理なのだそうです.またディスクブレーキでない場合は,注文すればドラムブレーキを補助ブレーキとして追加できます.

次にドライブトレイン.クランクセットや変速機(ディレーラー)をどうするかっていう問題です.

タンデムでは,前側と後ろ側のクランクを連結するタイミングチェーンが,車体の左側にくるクロスオーバドライブと,車体の右側くるシングルサイドドライブという 2 つのレイアウトがあります.

Bike Friday のタンデムでは,折り畳みの Tandem Two'sDay は,折り畳みの都合で必ずクロスオーバドライブです.クロスオーバドライブの場合は,タンデム用のクランクセットが必要になります.

Bike Friday のタンデムでも分割式の XL Traveler などはシングルサイドドライブが普通です.この場合は普通のクランクセットを利用できます.後ろ側のクランクには,タイミングチェーンのためのチェーンリングと,後輪を駆動するドライブチェーンの為のチェーンリングを取り付ける必要があります.フロントディレーラーを使わずに内装ハブギアと外装を組み合わせる 3×9 DualDrive ハブを利用する場合は,通常のダブルのクランクで間に合うはずです.ハブギアを使わない場合は,トリプルのクランクを使えばタイミングチェーンのためのチェーンリング 1 枚の他に,ドライブチェーン用に 2 枚のチェーンリングが使えて,フロントダブルになります.

ではドライブチェーン用のチェーンリングを 3 枚にするにはどうするのでしょう.Bike Friday では,その場合はタンデム用のクランクセットを使って,クロスオーバドライブにしているようです.後ろ側のクランクは,左側にタイミングチェーン用のチェーンリングが一枚,右側にドライブチェーン用のチェーンリングが 3 枚です.

タンデム用のクランクセットは,Shimano からも Ultegra のグレードなどで出ています.ぼくの ViewPoint タンデム では,Ultegra のタンデム用クランク 170 mm を使っています.でも,クランク長さは 170 mm 以下は無いのではないでしょうか.長さのバリエーションが必要な場合は,フランスの SPECIALITES TA のクランクセットを使うことになります.TA は少し高価ですし,入手に時間がかかりがちなようです.日本の スギノテクノさんに注文すれば 160mm から 175mm の長さの組み合わせでタンデム用クランクセットを作ってもらえます.

タンデムではいつでも自分の好きなギア比を選び,好きな回転数でペダリングできるわけではありません.キャプテンとストーカで異なる好みが異なることが多いからです.だからワイドレシオのギア比は有利かもしれません.小径ホイールでもワイドレシオが問題なく得られる DualDrive ハブは魅力的です.

DualDrive ハブを使うと,やはり少し重くなるようです.廉価なモデルならその重さの違いは大きな問題ではありません.軽量化するなら他にも軽くできるパーツがいろいろあるはずですし.TiLite バージョンなどの高価で軽量なモデルで,さらなる軽量化を優先するなら DualDrive ハブは重量的に不利なので,選択肢から外れてくるかもしれません.

DualDrive ハブを使わない場合は,キャプテンとストーカがどのようなペダリングをするかを想定して,ギア比などを決定することになるわけですが,割り切りが必要かもしれないですね.

Bike Friday の Q タンデムシリーズでは,1 人乗りの状態のシングルと,タンデムとを組み替えられるようになっています.DualDrive ハブを使っている場合は組み替えが簡単ですが,フロントディレーラーを使っている場合は,組み替え時にフロントディレーラーの付け替え作業が必要になったはずです.

タンデム自転車では,より丈夫なホイールを作る為に幅の広いハブを使ってホイールを組んだりします.タンデム用のハブというのが存在し,そのようなハブを使うフレームではマウンテンバイクよりもエンド幅が広かったりします.でも小径ホイールなら特に幅の広いハブを使わなくても丈夫なホイールを組む事ができます.Bike Friday のタンデムではマウンテンバイク用やロードレーサ用の通常のハブを使っているようです.

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