2011 年 1 月の履歴(もしくは日誌)


2011 年 1 月

1 月 21 日

d 線の屈折率 nd とアッベ数νd から C, F, g 線の屈折率を求める

光学ガラスの d 線の屈折率 nd とアッベ数νd がわかっているけど,その他の波長に対する屈折率がわからなくって C, F, g 線の屈折率を求めてくれって話.で,考えてみました.文献を探したりしてみたけど良いものあ見つけられない.ガラスメーカのカタログをダウンロードして,全ガラスの部分分散比とアッベ数の関係から多項式近似曲線を作って,近似式とその係数を求めました.それを使って d 線の屈折率 nd とアッベ数νd を計算したら,わりと良い感じで屈折率が求まりました.

光ガラスのガラスデータは EXCEL のワークシートになっているのでそれをダウンロード.全てのガラスの C-d/F-C と d-g/F-C と g-F/F-C の部分分散比とアッベ数でグラフを書いて多項式近似する.EXCEL なんかで簡単に近似式の係数が得られる.アッベ数を x として,部分分散比を y とすると次のような式になる.

d-C/F-C
y = -0.0000072362389179955 x^2 + 0.00114895547270874 x + 0.261774306273274
g-d/F-C
y = 0.0000318533097940724 x^2 - 0.00488347374582586 x + 0.71998657703516
g-F/F-C
y = 0.0000390840876470875 x^2 - 0.00603177936127578 x + 1.45818772107994

ただし C-d/F-C は C 線の屈折率 nC と d 線の屈折率 nd の差を,F 線の屈折率 nFと C 線の屈折率 nC の差で割った値で,つまり y = (nC - nD)/(nF - nC) .アッベ数νd は d 線の屈折率を nd とすれば ( nd - 1) / ( nF - nC ) である.

(nd - nC )/(nF - nC) = y であり νd = ( nd - 1) / ( nF - nC ) であるから,これを nC について解くと nC = nd - y * ( nd - 1) / νd になる.y はνd の式だから,nd とνd から nC が求まる.同様に nF, ng も.

  • ng = nd + y × ( nd - 1) / vd
  • nF = ng - y × ( nd - 1) / vd

この近似で求めた屈折率はカタログの値との違いが C 線 F 線では 0.00003 未満.g 線では 0.0002 未満.

2次まででなく4次まででの近似もやってみたけど,結果があまり良くなかった.

Internet で検索してみて良い情報を見つけられなかったのでここに書いておきます.

http://onohiroki.cycling.jp/tb/tb.cgi/weblog_d20110121n1 TrackBack