第 20 回 びわ湖一周サイクルマラソン

リカンベントで 180 km?

1999 年 10 月 3 日 大会当日

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朝は 5 時スタートであるからして,非常に早い.まだ暗いうちにスタートになる.ホテルの部屋で昨夜に買っておいたサンドイッチで朝食を済ませ,チェックアウトし,走行に必要のない荷物はホテルに預けて会場に向かった.会場についてみてもまんぼうさんが見あたらない.電話してみると寝過ごしたそうで....なんでも昨夜のアルコールが抜け切らないそうで.やっぱり本当によわかったのね,まんぼうさん(笑).

スタート前になってぽつぽつと雨を感じる.気温が上がっていないので,ウィンドブレーカの上をはおっていたが,念のために下も履くことにした.上下ともゴアテックスのゴア・アクティベントという奴で,薄手のナイロンの裏地にラミネート加工されている.防水防風透湿素材だ.

先頭から出発しはじめてからマンボウさんが登場.ロードの一番最後あたりに入れてもらってスタート.スタート時に実行委員長に直接「来年からはリカンベントも正式に認めて下さい」とお願いするが返事は「常識というものがある」だって.

まんぼうさんが先行してそれについて行く.適当にごちゃごちゃとスタートするわりに行きなりかなり細い道だ.しかも今回は歩道を走れということになっている.つまる車間,上がるスピード,雨で滑る路面,そしてあたりはまだくらい.なーんてことを考えていたらやっぱり数台前が急ブレーキでぼくがまんぼうさんに追突.大したスピードは出ていなかったのでなにも問題はなかったが,車間をもっととろうと反省.

途中で誘導されて,歩道から車道左側に.広くなったのでややいい感じ.ペースが上がっていく.雨が降っていてしかも向かい風が強い.かなりの悪条件で思う程はペースが上がらない.サイクルコンピュータの平均速度を見てはかなり遅いペースだなぁと.

途中でまんぼうさんに前に出るようにいわれて前に.途中までは後を確認していたが気が付いたらまんぼうさんを見失ってた.かまわずペースをあげて走る.リカンベントが空気抵抗が少ないとか行っても,これだけ向かい風が強いとやっぱりキツイ.人の後につくとやはり楽なのだった.

ゴア・アクティベントのウェアは快適で,雨に濡れることも無く,風で体温が下がることもなく,汗で蒸れることもなく極快適.気温もそれほどあがらず 19 度とかなので,ちょうどよい感じだ.

新海浜エイド

雨も上がって 7 時 28 分前,最初の補給ポイントに到着.46 km 地点の新海浜エイドだ.トップ通過時刻は 6:19 の見込み.まわりはけっこうのんびりした雰囲気だ.まんぼうさんの到着もまだなので,パンとドリンクを受け取って食べて,トイレを済ましたりしてゆっくりする.まんぼうさんを待とうかどうかしばらく考えたが自分自身完走できるかどうか不安もあるので先に出発することに.実は出発しようとするところをまんぼうさんに目撃されていたのだが,このときはぼくは気がつかなかった.

パンク

沿道にたつボランティアのスタッフ.若い人が多い.ぼくだけヘルメットカバーが無いのだが,そんなことにはとんちゃくせずに温かい声援をかえてくれるのがとても嬉しい.

雨の日はパンクが多い物だ.とがったものが雨に流されてくるからか.沢山の人が路肩でパンク修理をしている.そしてそれは自分にも.急に操舵が重くなり,妙に前輪の抵抗が大きくなった.すぐには原因が分からなかったが明らかに異常がある.パンクだ.前輪の空気圧がかなり減っている.歩道は狭く沢山の自転車が通るので,空き地があるとろこまで押していく.それでも自転車が通るのが怖い.これでは地元のひとも良い顔はしないだろうなぁ.

空き地を見つけてさっそくパンク修理.工具はそろっているし,つい先日もパンク修理をしたばかかりなので,安心.そこへまんぼうさんが通りかかる.ぼくはどんどん先に行ってしまったのに,トラブル時がまんぼうさんは待ってくれるのだ.どうもありがとうまんぼうさん.炭酸ガスのカートリッジを一本だめにして予備のもう一本で無事にパンク修理終了.ふと視線をあげるとそこはガソリンスタンド.空気入れるのはあそこで頼んだ方がはやかったか?自動車と同じ米国式のバルブだし.そのことに気が付いてまんぼうさんと顔を見合わせる.

手伝ってくれたマンボウさんに感謝しつつスタート.そしてまた先行(笑).

尾上エイド

やはりキツイ向かい風にあまりペースをあげられなくて,ひーひーーいいながら 10 時 01 分に尾上エイド.新海浜エイドから 36.1 km,スタートから 82.1 km だ.トップ通過予測時刻が 7 時 20 分.どうもシートの位置などが気に入らないのですこし前にずらしてみる.この後は登りがあると聞いている.ドリンクとバナナをもらって食べる.そしてトイレも済ます.そしてもう一度シート位置をいじっていると,NIFTYSERVE のオフで何度かあっているやぎちゃんに声をかけられる.ツールド能登の疲労がとれていないとやぎちゃん.出ようかとおもったらまんぼうさんも到着.せっかくだからしばし休憩.回収車も到着.なんで?というまんぼうさんに答えて,10 km 先の第一チェックポイントでの関門閉鎖は 11 時ですよ.もう 10 時半になっている.おどろく一同.そうかやっぱりあまり余裕はなかったんだということを確認して慌てて出発.よし行くぞ!

バキ
「バキ?!」

故障

行くぞとペダルを踏み込んだら,いきなりシートの位置がずれた.バキっという異音とともに.冷静にビンディングペダルからシューズを外して,停止.そして点検.やぎちゃんやまんぼうさんはそのまま通過してく.

シートの固定が甘かったかなと思ったのだがシート後部の固定はしっかりしている.シート全部を見てみるとびっくりフレームの丈夫の丸パイプとシートの全部を固定しているパーツが完全に割れている.どう考えても続行不能.しかたなく出たばかりの尾上エイドに歩いて戻ることに.

回収拒否

大会スタッフの人に故障のために棄権するから回収して欲しいとお願いする.待っていればまだ回収車が来ると説明をうける.待っていると回収のワンボックスカーが来た.さっそく運転手に回収してくれと頼んだ.

運転手はぼくとリカンベントが車検でもめたことを知っていて,電話で大会本部に問い合せを始めた.なぜに問い合わせる必要があるのかと不思議に思っていたら,事態は予想もしないことに.

なんと回収はできないというのだ.

参加費を払っていて実行委員会側から走って良いとされて参加しているぼくが回収拒否される理由がわからない.理由の説明をもとめてもだめだし,運転手はまったく相手にしてくれない.そうこうしているうちに他の棄権者の自転車が積み込まれていく.

回収車に載せたって,運営委員会側が誰かから,責任を問われることなんてないじゃない.参加費用も払っていて,予め参加人数に数えてあったぼくの自転車を回収車に載せない理由はなんなのさ.

理由も無くこういう仕打ちを受ける.これは差別だよね.肌の色が普通ぢゃないからバスに乗せてやらないという差別とどう違うのか.おまえの自転車は普通ぢゃないから回収車には乗せてやらないという仕打ちだ.そんなに嫌がらせをしなくてもいいのに...

このことについては別ページで追及するとして...

タクシーで 80 km

まぬけなぼくは輪行袋をホテルに他の荷物と一緒に預けてきた.回収車に乗せてもらえないなら輪行袋を持ってくるべきだった.しかたがないのでタクシーを呼ぶことにした.輪行袋があれば最寄り駅でも良かったが,輪行袋はないし精神的に疲れていてぐったりだったので,なにも考えずにタクシーで JR 草津駅前のホテルまで送ってもらうことに.もうなにも考えたくなかった.幸い Sat R Day はタクシーの狭いトランクにも楽々入る.タクシーの運転手に事情を話してというかちょっと愚痴を聞いてもらう.しばらくしてまんぼうさんから電話が入る.こちらは故障の為に棄権すること.回収車には乗せてもらえなかったのでタクシーに乗っていること.このままホテルによって,帰ってしまうことを伝えた.完走するまんぼうさんの姿をみるのもいいかもしれないが,会場にいったらぼくは怒りにまかせて暴れ出しそうだ.回収拒否のことはまんぼうさんも驚いていた.まんぼうさんの Linear では輪行どころかタクシーだってあぶない.他に一緒に来ている人もいない.まんぼうさんはもうスタート地点まで自走してたどり着くしかないのだ.とりあえず第一チェックポイントをクリアした報告を聞いて安心する.前半に苦しめられた向かい風も後半は追い風になる.きっと完走できるはず.

自転車で走れば 80 km という距離はそう大した距離ではない.しかしタクシーでは大変な距離だ.メーターがそれを教えてくれる.1 時間走ってもまだ到着しない.あたりまえだ時速 80 km/h で走ったって 1 時間.タクシーはそんなスピードでは走らない.

タクシーの中からリカンベント サイクリングクラブ メーリングリストに iモード携帯電話からメールで第一報:

Subject: [Recumbent:00600] Re: びわ湖一周サイクルマラソン
Date: Sun, 3 Oct 1999 12:00:17 +0900
To: recumbent@ml.mail.ne.jp
X-Mailer: NetVillage remote maiL for iMODE Rev1.0; 

おのひろきです。
こわれちゃいました。
シートを固定する部分がわれちゃいました。

やっとホテルについて,預けていた荷物を回収.そして翌日の約束の為に大阪に向かうのでした.大阪への電車のなかでまんぼうさんから完走したと報告をうけました.まんぼうさんお疲れさまでした.まんぼうさんだけでも完走できてうれしいです.まぁぼくはさんざんでしたが,リカンベントがこの大会に出てちゃんと完走したというのは大きいのではないかと.

1999 年 10 月 4 日 大会翌日

180 km 走るつもりでいたので,そのまま何時間もかけて帰るのはつらいだろうと 10 月 4 日月曜日に有給休暇を取っおいた.事前に 2 泊してから帰るつもりだと関西のメール友達にメールしておいたら,月曜日に会おうということになった.Brompton に乗っているじゅんこさん.メールのやりとりだけでこれまで会ったことはないのだが,じゅんこさんも会社を休んで一日つきあってくれるということに.ぼくも宿泊先を大阪の弁天町にして月曜日に会うことになった.

前日のいやぁ〜な記憶をすみにおいやって,気分転換をはかり明るく楽しい気分に浸ろう.

本当はぼくの Sat R Day リカンベントに試乗してもらうつもりだったが,故障のため断念.壊れた状態で見るだけ見てもらった.荷物を全部ホテルに預けて,近くの海遊館という水族館に遊びにいった.水族館でジンベイザメを見たり,マンボウをみたり,けっこう楽しかった.どうも遠足の小学生がわらわらと沢山いて大変にぎやかなのが残念ではあったが.

なんかはじめて実際に会ったのに,もう古くからの友達って感じでかなりの時間をおしゃべりに費やした.ゲームセンターでゲームをし,中華料理でお腹いっぱいになり,あっという間に予約した新幹線の時間になってしまった.

おわりに

回収拒否のことについては,同情的な言葉を沢山からいただいた.リカンベント仲間からはそもそもレースでないサイクルイベントにリカンベントの参加が認められないのがおかしいという意見も沢山いただいた.もっとも回収拒否の事以外については,実行委員会側の立場を弁護するような意見もいただいた.

でも回収拒否は誰にもその正当性を説明することはできないでしょう.単純にそれが差別だったから.

一番厳しい言葉をくれたのは,やはり身近な友達でした.故障の為に途中で断念したことと翌日は水族館に行ったということをメールで書いたらその返事は:
さやかちゃん:「(故障は)日頃の行いが悪いんじゃん?(笑)やっぱり会うのは女の子なんだ・・・。(笑)まったく」
みえこちゃん:「(故障は)日頃の行いもそうだけど、自転車の整備が足りなかったんじゃないですか?(笑)友達と聞いて、男の人を思い浮かべましたが、読んでいくうちに女性だと判明。さすが女の子好きと思わず納得してしまった」
ですって.うーん...

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1999 年 10 月 11 日作成 / 2000 年 10 月 26 日更新

おのひろき onohiroki@cup.com