[大会概要 | 走行ログ マップ]

折り畳み自転車で行こう!

2000 霧島高原サイクルジャンボリー

2000 Kirishima Kogen Cycle Jamboree

BD-1 で参加したヒルクライム・イベント

2000 年 11 月 25, 26 日

レースにでませんか

女の子にレースにでませんかと誘われて,何処でやるのか,どんなレースなのかも良く考えずに行くと答えた(笑).

11 月 25 日 鹿児島へ

そしてぼくはスーツケースに BD-1 を詰め込んで飛行機に乗り込んだ.目指すは九州の鹿児島県.霧島高原サイクルジャンボリー,それは標高差 1000 m ほどを登るヒルクライムレース.ぼくが申し込んだカテゴリーでは制限時間が 2 時間!それはちょっときついのではないか?.コースは 標高差 1000 m で 20 km のマウンテンコースとその約半分のチャレンジコースの 2 種類.マウンテンコースはさらにチャンピオンクラスという制限時間 1 時間のクラスもある.つまり全部走る覚悟だと,どうしても制限時間は 2 時間ってことなのだ.もちろん 2 時間以上かかっても走らせてくれるそうではあるのだが.

このレースに誘ってくれたのはリカンベントサイクリングクラブのメンバーの嘉茂さん.彼女は MTB で通勤して週に 1 度はスピニング(専用のエアロバイクでの室内トレーニング)に通うなかなかの走り手だ.今年のひわ湖一周サイクルマラソン(ぼくが出掛けたのは 1999 年)でも試走のためにわざわざ事前に一回走るし,本番でも 9 時間を切る成績.ぼくは彼女について行けるのだろうか?

霧島高原サイクルジャンボリーのヒルクライムレース本番は 11/26 日曜日だが,11/25 土曜日にも事前に受付と車検,それにいくつかのイベントがある.さっそく会場に乗り込んで自転車を組み立てて,受付と車検を済ませる.そしてせっかくだから,コースの最初の 5 km くらいを走ってみる.
時速 10 km を維持するのは結構大変だ.嘉茂さんは早くも不安そう.いやぼくも不安なのだ.上に登ればもっとキッツイ坂もあるのだし...

嘉茂さんは,インターマックスの今中大介氏が好きらしい.嘉茂さんは東京国際自転車展ではじめて今中大介氏に遭遇してちょっと話をしたのだが,その時は今度霧島のレースに MTB で出るのだと話をして,自分にちゃんと走れるかどうか不安だなんて言った時には,「心配しなくても大丈夫でしょう」なんて言われたのだ.が,しかし霧島で再開して,嘉茂さんが愛車 GT を指さしてあれでマウンテンコースを走るのだといったところ,「え?あれで.まぁせっかくきたんだしね」って反応でちょっと違う(笑).東京国際自転車展でお会いしたことは覚えていますかって問いには「覚えていますよぉ,なんとなく」っていう反応でした(笑).いやぁー嘉茂さん,そりゃ覚えてないって!

そしてその後で,この日のメインイベントである今中大介氏の講演会を聞いて帰ってきました.今中大介氏の講演で一番ぼくにとって為になったのは,レース後に食べすぎるなって話でした.レースの前とレース中なら食べてもいいが,走り終わったら抑え気味で,けっして食べすぎるなと.なるほど.ぼくも自転車の重さよりも自分の体重のほうが気になるしね.

11 月 26 日 ヒルクライムレース

さてレース当日.昨日は雨だったのだが,今日は良く晴れわたって,暑いほどの天気.ウェアーは普通に夏と同じ物を着て走ることに.
開会式から嘉茂さんは不安そう.やっぱりチャレンジコース(約半分のコース)にすれば良かったかなとか,今から変更できなかなってかなり弱気.

ここではあまり小径折り畳み自転車はみなかった.Bike Friday Pocket Rocket を一台見ただけだ.BD-1 はけっこう珍しいらしくて,いろいろ質問された.

開会式が終わっていよいよスタート.嘉茂さんはマウンテンコース一般クラス女性の部で 10:00 の一組目スタート.ぼくはマウンテンコース一般クラス男性 39 歳以下の部で 10:20 スタート.20 分の差を縮めて嘉茂さんに追いつくことができるか? もし追いつくこと後ができるとしてもゴール直前か?

嘉茂さんのスタートを見送っていよいよぼくの出番.まわりも見ると 98 % くらいがロードレーサなどのドロップハンドルな自転車.残りが MTB.小径折り畳みはほかに見つけられない....

スタートするとけっこう皆さん良いペース.ぼくはとにかく平均速度が 10 km/h 以下にならないようにって事だけを気にして走る.最初は周りのペースにつられてぼくもそれなりにハイペースで.あまりオーバーペースにはならないように気をつけながら.GPS の表示を見ると平均速度は 18 km/h を越えている.なかなか良いペースだ.踏めるところではきっちり踏んで,タイムを意識して走る.
スタート直後はロードレーサの間を縫うように進む.しばらくすれば集団もばらけてくるのだろうが.

追い抜くのと追い抜かれるのとどっちが多いか?いずれにしてもぼくよりまだ遅い人もいるみたいだしこれならなんとかなるかしら.坂がきつくなってくる.ぼくはまだ後 2 枚は軽いギアが残っている.失速しそうなロードレーサを追い抜く.見ると一番軽いギアにしてもぼくのギア比より重いようだ.もっと軽いギアだと楽なんだろうになぁ...

途中で硫黄の匂いがしてくる.温泉だ.ほとんどアウターでがんがん登ったという今中大介氏もインナーギアを使ったというあたりだ.ぼくはもちろん一番軽いギアに.フロントチェーンリングをダブルにして 9 x 2 の 18 速にしてある BD-1.一番軽いギアは実はチェーンが擦るところがあって,ちゃりちゃりと音がしてしまうのだ.いざという時にしか使わないギアだが,今こそがそのいざというときなのだ.ちゃりちゃりと言わせながら坂を登る.結局十分ギアが軽ければ,ゆっくりであってもクランクを回せばちゃんと坂を登るのだ.自転車とはそういうものだ.

そして途中のチャレンジコースのゴール地点.ここまで本当に休み無しで走ってきた.やればできるものだな.平均速度はまだ 17 km/h 以上ある.時間を初めてチェックする.10 時 59 分.20 分にスタートしたのだから 40 分ほどでここまで登ってきたことに.もう残りは半分ないのだから,2 時間の制限時間は気にしなくても良いようだ.これまで 20 分先にスタートしている女性を何人か追い抜いたが,嘉茂さんにはまだ追いつかない.彼女はどうやら順調に走っているようだ.ここまできて欲が出る.本当に追いつけないものだろうか?

さらに進む.麦草峠に一人で登ったときと比べたら,まだ辛くはない.辛いとはあまり感じないのだ.坂は確かにキツイ坂なのだが.

ほとんど登りっぱなしのコースでも若干の下りもある.アウターに入れて,がんがん踏む.下り坂で節約してペダリングを止めているロードレーサを何台かパスする.さてまた登りだ.徐々にギアを軽くしていく.
ガキ!
「ガキ???」

やってしまった.ぼくの BD-1 はギア比に無理があってアウターチェーンリングに入れたまま,後のギアを一番軽いギアにするとチェーンの長さが足りなくなり,変速できなくなってしまうのだ.リアディレイラーについている折り畳み時にチェーンのテンションをたもつための針金をコグにかんでしまう.そうなるともう一度停止して直さなければならない.
ここまできて初めて自転車を降りる.痛恨のトラブル.単に自分の操作ミスだ.疲れて思考能力が落ちたからか.欲を出してアウターなんて使うからだ.

あせるとなかなか作業はうまくいかない.それでもやっとのことで直してまた走り始める.あせっているので,いきなりハイペースだ.停まっている間にぼくを抜いていった選手をばんばん追い抜く.このハイペースではやっぱり保たないかも...徐々に落ち着きを取り戻し,ペースを落としていく.一度停まってからは停車していた時間も含めた平均速度が 15 km/h 以下になっている!とにかく後もう少しだ.走れ走れ!
やはり嘉茂さんの姿は見えない.うーんやっぱり彼女は速かった!そしてゴール.時間は?
よく分からないままゴールを過ぎて,ちょっと下った指定された場所まで自転車に乗ったまま移動する.そこで自転車を預けてバスに乗ってスタート地点まで降りるのだ.確かにこのコースを皆で下ったら,かなり危険かもしれない...

その駐輪場に着いてみると,嘉茂さんがいた.彼女もちょうど到着したところだとか.ほとんど同時のゴールだったらしい.うーんわずかに届かなかったか.

嘉茂さんは走っている時に,今中大介氏に話しかけられて,ちょっとだけ一緒に走ったとか.今中大介氏はレースに参加するのではなく,ゲストとしてゆっくり皆と走るってことだったので.
嘉茂さんは完走できたのも嬉しそうだが,やっぱり今中大介氏に話しかけらたのが嬉しいみたいだ.

ゆっくり休んで,最後のバスに乗り込む.登りは必死で見ることができなかった紅葉で赤く染まる景色を眺めながら...って実は眠くなってうとうとしてたりして...

スタート地点の会場に戻って昼食.うどんやおにぎりが用意されていた.その後は表彰式を含む閉会式.各カテゴリーごとに表彰していく.一番豪華な賞品はチャンピオンコースの優勝者に贈られたパナソニックの 20 インチホイールの折り畳み自転車だった.入賞者は 1 時間を切るタイムで 50 分ほどだ.でも 40 分台は今回は出なかったようだ.

結果は嘉茂さんが 1 時間 40 分 xx 秒で,ぼくが 1 時間 20 分 53 秒.スタート時の 20 分の差を完全になくすことはできなくて,ぼくは数十秒嘉茂さんよりも遅くゴールすることになった.

それにしても 2 時間で 1000 m の標高差を走りきることができるかと心配していたのに,本番ではちゃんと走ることができた.1 時間 20 分ならそう悪くないのでは?

11 月 27 日 トレーラ牽引

帰りである.嘉茂さんは,昔は鹿児島に住んでいたとか.それでいきなり鹿児島って話になったのだが.
嘉茂さんの案内で空港まで走ることに.今回は Sat R Day 用のスーツケースに BD-1 を入れてきた.走るとなると当然ケースをトレーラとして牽引するのことになる.BD-1 にも使える,汎用のトレーラ取り付け金具も用意してある.今回 BD-1 で牽引するのは初めてだったのだが,Sat R Day での時と違って,トレーラに前後に振られるような違和感がある.BD-1 のリアスイングアームが動くからだろうか?

電化されていない肥薩線の脇を走り,レースのコースにもなっていた国道 223 号線の南側をさらに南に下る.山岳地帯の中を走る.谷間には川が流れ,それに沿った道.川の流れを見ながら走るのはぼくは大好きだ.紅葉よりも川の流れが好きだなぁ.温泉街はちょっと有名でとても良い場所らしいとか,あそこでは鰻を養殖しているとか嘉茂さんの説明を聞きながら.鹿児島空港に行く前に,嘉茂さんが卒業した高校によって行こうってことで,鹿児島湾の海が見えるところまで南下する.せっかくお土産を用意して訪ねたのに,嘉茂さんの恩師はすでに定年を迎えて 3 月に退職されたばかりだとか.残念.
昼食は後にして,まずは空港へ.今度は北上.つまりまた登りだったりして.

14:10 発の飛行機.空港到着は 12 時.あんまりゆっくりする時間はなかったが,パッキングして昼食を取るだけの時間は十分あった.空港の建物に入って自転車のパッキングにかかる.ちょっと目立つかな...

そんなこんなで無事に飛行機に乗り込んで鹿児島を後にした.

おわってみて

ロードレーサに乗ればもっと速く走れるのではって言われた.きっとそうだろう.BD-1 よりロードレーサで走ったほうが速いと思う.でもそれって別におもしろくない(笑).ぼくは BD-1 が好きだから BD-1 に乗る.それでいいのだ.ロードレーサに乗ったって,BD-1 で走るよりは若干速いだろうけど,ぼくでは大した成績はでないだろう.勝つために走るのではなくて楽しみ為にレースに参加して走るのだから,好きな自転車に乗ればいいのだ.そして今回ぼくは BD-1 で参加して楽しかった.

嘉茂さんもスタート直前は,自信がないとかやっぱりチャレンジコースにすればなんだかんだと言って,やっぱり楽しかったということだ.やっぱりマウンテンコースにして良かったでしょ?


おのひろき onohiroki@cup.com