センチュリーラン笠間 2001

BD-1 の限界は...

2001 年 9 月 2 日

センチュリーランとは...

センチュリーラン.それは 100 マイル ( Century Mile / 約 160 km )を走る大会で,通常は 8 時間以内での完走を目指す.

今年で 4 度目になるセンチュリーラン笠間.今年の目標タイムは自己ベストを 40 分も短縮する 6 時間半だ.寝不足に負けて,さんざんな結果になった去年の反省から,今年は前日のうちに笠間に入り,ホテルで一泊して万全な体調で参加することにした.

トライアスロンをやっていて競技指向のある弟に誘われて,一緒に走った初参加が 1998 年.当時の BD-1 は買ったままの状態で 7 段変速だった.雨の中でのスタートだったが,後半で雨もあがりなんとか弟とそろって完走したが,時間は 8 時間 58 分と回収車に追われてのゴールだった.

14 段変速になった BD-1 で参加した 1999 年は 7 時間 10 分ととても良い結果がでて,満足できる結果だったし,大会を楽しみながら走ることができた.

昨年は主なパーツをシマノ 105 に交換し,タイヤも 16 インチ 1 3/8 のプリモ・コメット.2×9 の 18 段変速と,ほぼ現在のスペックになり,これは自己記録を更新しなければと気負ってスタートを切ったにもかかわらず,猛暑と寝不足に泣き,さんざんな結果に.8 時間で帰ることもできなかったのは覚えているが,いったいどういう記録だったのか良く覚えていない(苦笑).その時に来年はホテルに泊まって十分睡眠時間をとって良い結果を出すのだと決めたのだ.

BD サイクリングクラブとリカンベント サイクリングクラブのメーリングリストで呼びかけて,8 人のメンバーの参加が確認された.

9 月 1 日 / 大会前日

吉田信生さんと待ち合わせて常磐線の鈍行列車で友部駅へ.友部から水戸線に乗り換えて笠間駅に向かうにしても,電車の本数が少ないので友部駅から自走してホテルに向かう.ホテルで自動車で仙台からやってきたむなかたさんと合流.近所をちょっと走ってみることにした.むなかたさんを先頭にして笠間稲荷へ.観光客っぽく神社を参拝して明日の大会が無事に終わるよう祈願したりして.鳥居の外で蕎麦屋に入って軽く食事をする.

ホテルの近くの笠間芸術の森に戻り,公園内を散策.自転車で散策するだけの広さがあったのは以外だった.思ったよりも広かった.吉田信生さんはむなかたさんのタイフンに試乗してみる物の,なかなかうまく乗れずに苦労していた.公園で 3 人でいろいろと話をしている内に時間が過ぎていき,ホテルに戻ることに.ホテルにもどるとちょうどまきさんが友人の自動車に送られて到着したところだった.ここで 4 人でチェックイン.

簡単にシャワーを浴びた後でホテルのレストランで食事をとった.その後,翌日の朝食と補給食を確保するためにむなかたさんの自動車で買い出しに出た.

買い出しから戻ってからぼくはすぐに寝てしまった.22 時前だ.これで睡眠はばっちりだ.

9 月 2 日 / 大会当日

受け付け / 開会式

大会の受付は 6 時半から開始だ.会場はホテルからすぐ近くなので特に慌てる必要はないってことで 6 時半にホテルの玄関前で待ち合わせすることに.それぞれ自転車を用意する.バックパックを背負っている吉田信生さんに,余計な荷物はホテルに預けておいたほうが良いとアドバイス.ホテルって宿泊前後は荷物を預かってくれるので,これを利用しない手はない.問題なくゴールできるとは限らないので,人様の車の中に荷物を置かせてもらうというのも不安だしね.

さて Vikkino のイデグチさんも昨夜遅くにホテルに到着したはずで,6 時半集合のことは伝言を頼んであったのだが現れない.電話をしてみると,電話で起きたとのこと.寝坊して受け付けに間に合わないという事態は回避できたのだった.

会場でさっそく受付をして車検を受ける.むなかたさんやまきさんのリカンベントも問題なく車検を通過.

会場でてんてこさんや長月さん,須藤さんとも合流.てんてこさんは BD-3 をリカンベント化した車両を持ち込んでいたが,リアディレイラーまわりに調整不良が.なんとか変速可能な状態にしてぎりぎりの時間で車検へ向かう.

開会式が始まる前にはイデグチさんも現れる.コムカイさんも一緒だ.ハンドメイドバイシクルショーに展示された Vikkino にイデグチさん.そして 2 つめのVikkino にコムカイさん.2 つめの Vikkino では,フロントフォークの形状を単純化し,フレーム形状の見直しで,フロントディレラーを追加できるようになっていた.

グレーに塗られた 2 つめの vikkino は実は下地塗りのグレーがそのままなのであって,アクセントで一部黒く塗装してあるのみ.この大会のためにぎりぎりで走れるようにしてきたということだった.

メーリングリストの仲間の他にも BD-1 での参加者もいるようだ.

開会式が終り,いよいよスタートに.8:00 から出走の予定だったが,実際には 10 分遅れの 8 時 10 分の出走に.ぼくはゼッケン 5 番で,10 人ずつの出走なので,一番最初のスタートだ.スタートラインに並びスタートを待っているとやはり緊張してくる.

今回の目標は 2 つ:

  1. 目標時間は 6 時間 30 分
  2. 6 分後にスタートするむなかたさんに第一チェックポイントの前の最初の給水所までは追いつかれないこと

スタート

いよいよスタート.やはり一番先頭を走るのはちょっと嫌なのでそれぞれが譲りあう.そのうちに先頭も決まって加速していく.ぼくは先頭から 3 人目.その状態ですしばらく走る.後から 1 人前に出てきて 4 番目になるが,すぐに 1 人交代して 3 番面をキープする.

まわりはロードレーサばかりだ.時速 36 km/h から 38 km/h くらいのペースで進んでいく.

おのひろきの足は鼻歌まじりでも毎分 70 回転.普通にしていても毎分 80 回転.ひとたび「やるぞ!」って気合いが入ると,その回転は毎分 90 回転に達する.

ギアは普通の BD-1 と同じ前側 56T (歯数 56),後 11T が一番重いギアであるが,そのギア比で毎分 90 回転でクランクを回すと 16 インチ 1 3/8 サイズのタイヤを履いた BD-1 は 37 km/h まで加速されるのだ.

37 km/h,その速度は明らかにぼくにはオーバーペースだが,すぐに後からむなかたさんが来るのだ.とにかく最初の給水所までは全力で行くしか無い.後半に余力を残すような気合いでは 2 つの目標を達成するのはやっぱりどうしても無理なのだ.

無我夢中で前を走るロードレーサを追いかけるが,じりじりと離されていく.一度ある程度の距離が離されるともう追いつくのは不可能になる.すぐに先頭がどこかわからないほどに離されてしまう.そのころになると,数台のロードレーサがまとまって走るのに追い抜かれた.

最初の給水所

そして最初の給水所.ここで止まって飲み物を受け取る人はいないようだ.しかしぼくは一度止まってコップでスポーツドリンクを受け取る.ここまではむなかたさんに追いつかれなかった.勝利の祝杯(?).コップに 2 杯を飲んで再びスタート.次は第一チェックポイントを目指す.

むなかたさんと接近遭遇

走りはじめてから 55 分.後から声をかけられる.後を振り返るが,そこにはなにも見あたらない.ふと右下を見ると,そこに寝そべったむなかたさんが! ついに追いつかれた.ぼくは給水や信号待ちも含めたトータルでの平均速度がその時点で 32 km/h だった.むなかたさんは 34 km/h の平均速度で走って来たという(もっと速かったのでは? それともぼくがもっと遅かったか?).追いつくまでに 1 時間近くを要したのはむなかたさんにも意外だったようだ.ぼくにも意外だったが.なんどか信号待ちのたびに追いついたりしたのだが,5 分もしないうちにホントに追いつけなくなった.登り坂を登って行くむなかたさんを追いかけて,その坂を登りきると,すでにむなかたさんは下りを下り切ってしまっていて小さな点になっている.圧倒的な速度差.

茨城県の自転車道

GPS には去年のコースが点線で表示されている.途中で去年のコースとは異なる道に入る.なんでも茨城県で自転車道を整備しているらしく,今回はその自転車道がコースに組み込まれている.道路交通法では「自転車通行可な歩道」という区分だろう.せっかくの自転車道なのに,他の道路と交差するたびにいちいち一時停止の指定があり,車止めのポールが立っている.どうみても自動車の交通量が多くないような道路が,やはり自転車道より優先なのだ.どうせなら自転車道を優先にして,交差する車道の方を一時停止にしたらよいのに.ちゃんとどちらを一時停止にするかを考えれば,一時停止の箇所を 1/3 以下にできそうだ.

第一チェックポイント

そんな自転車道のなかに最初のチェックポイントがあった.ぼくは自転車を降りて,バナナを 1/2 本を食べ,ボトルに水を足してもらってから走り始めた.今回はチェックポイントでだらだらと休憩するつもりはないが,それでも水を足すなどのことは落ち着いてきちんとやっておきたい. ここではすべての自転車が一度停止して出走カードにチェックを受ける.それでも自転車を降りない人も多い.

さらに先に進む.途中で自転車道が砂利になったときにはコースをロストしたかたと思ったが,単にそこの自転車道の整備が間に合っていないだけで,その砂利道がコースなのだった.ロードレーサの人などはかなり嫌なのではないか?

途中からその自転車道をそれてまた一般道へ.多少の坂を越えてる.坂を越えたところに給水所がある.そこでまたコップに水をもらう.第二チェックポイントへはもうすぐだ.

第二チェックポイント

今回の第二チェックポイントは,笠間芸術の森公園のすぐ前ではなくちょっと離れたところだ.すぐ前だとやはり途中危険を考える人が多いのでは?

すでに 80 km を越えている.ここまでは予定した通過時刻よりも良い時間で走ってきている.前半であれだけ飛ばしたのでここで予定通過時刻より遅くあってはいけないのだ.

足はかなり張っている感じはあるものの,まだまだ回る.スピードも維持できる.まだ 27 km/h くらいは出る.

前回は棄権するかどうするかを考えた第二チェックポイント,今回はなんの迷いもなく先に進むことができる.しかも自己記録更新の確かな手ごたえを感じる.

中山峠

道は登って行き中山峠へ.こんなにあっさりと登れるのかと今回は感じた.そこを越えて狭い道に入っていき,もっともきつい上りだと印象に残っていたあの坂に.極短い登り坂だが,まだ山岳地だというわけでもないのに,いきなりの急坂.一番軽いギアにしてもくもくと登る.軽いギアを使えば問題なく登れる坂だ.無事にクリアする.

第三チェックポイント

川面を下に見渡して橋を渡る.もう一度橋を渡れば第三チェックポイントだ.

第三チェックポイントでも一度自転車を降りて,コップにドリンクをもらい,ボトルの水を補給する.まわりの人と少し声をかわす.

先に進むのだ.

ここから次の給水所まではちょっときつい登りがある.去年までの経験でコースを知っているのでそれなりの覚悟で登っていく.すでに長距離を走ってきた足にはきついが軽いギアを選んで,シッティングで登っていく.

周りのロードレーサを見るとインナーロー(フロントもリアも一番軽いギア)を選んでいるのに,ぼくの BD-1 よりはかなり重いギア比のようだ.足はかなりゆっくり回っている.もちろんダンシング(立ちこぎ)だ.ダンシングしていても別にぼくより速いわけではないのだ.あんなにゆっくり登るのなら,軽いギアを組んできてシッティングで登ればいいのにと思った.

「足がまわっていて楽そうですね」ってロードレーサの人に声をかけられた.あれは本当にそう思ったのだなと後になって思った.

最後の給水所

それでも無事につぎの給水所までたどりつく.給水所の人は「あと 10 km くらい.坂も大したことなくて 2 くらい」という.距離はなんか違う気がしたが,もう坂は大して無いはずだ.去年だとほとんどあとは下りで,中山峠をもう一度通るくらいだと思っていた.
が,しかし...

また 坂?

そこからは去年のコースとは違っていた.坂を数える 1 つ 2 つ...
3 つめの坂はそれまでよりもキツク感じた.あの給水所のおじさんはどれくらいの坂なら 1 つと数えるのだ??? 4 つ 5 つ.ばかばかしくなって数えるのはもう止めた.

ロードレーサの人が自転車を押している.ぼくより前にいる人は,一番最初にスタートしたぼくを一度は追い越した人だから,ぼくより速い人なのが原則だ.それでもたまらず押している!

無いはずの坂を登るのは精神的にけっこうキツイ.それでも GPS を見ていて,一度通った道に近づいてくるのを確認して,その上り下りの繰り返しもそろそろ終にちかづいているのが分かった.そしてその上り下りの繰り返しも,突然に終わる.長い下りを下り終わると平坦な道になり市街地の中へ.スタートからの経過時間はまだ 6 時間には達していない.

後から一台のロードレーサが前に出てきた.後について走ると 32 km/h ほどだ.着いていけそうなので後にぴったりと着くことに.しかしどうも後について人のペースにあわせるのは難しい.勢いあまって前に出る.5 時間 55 分.6 時間を切るのは絶対無理だが,6 時間 30 分の目標よりもかなり良い結果が出るのは確実だ.

さらに加速するためにペダルを踏み込む.後方を確認したら先ほどのロードレーサは離れてしまっていた.市街地を抜けて笠間芸術の森へ.宿泊したホテルの前の坂にさしかかる.やはり登り坂ではペースが落ちる.そこでまた別のロードレーサに追いつかれる.その坂を上り切ったらゴールはもう目の前だ.流してきょろきょろしながらゴールを探す.どうやらスタート地点の奥の受け付けをした場所がゴールのようだ.

ゴール

すでにゴールしたむなかたさんや吉田信生さん(80 kmコース)が出迎えてくれる.長月さんは 160 km エントリーで途中で 80 km に変更してゴールしていた.

ぼくの記録は 6 時間 8 分.目標の 6 時間 30 分よりかなり良いタイムだ.これまでの自己記録を 1 時間も短縮している.

聞けば一番最初にゴールしたのはむなかたさんだとか.先にスタートしているとは言っても 80 km コースの吉田信生さんより先にゴールしてしまうとは.

ゴールしてから芝生の上でごろごろする.吉田信生さんやむなかたさんは,すぐに元気になってタイフン試乗会を始めている.

赤い上ハンドルのリカンベントがゴール地点に現れる.Trek R200 だ.実物は始めてみたのでは無いだろうか.さっそくライダーに声をかけたら,昨年の雨の霞ヶ浦一周で一緒に走った松島さんだった.R200 に試乗させてもらう.乗りやすい素直なリカンベントだった.さすがメジャーメーカが発売するだけのものがあると感じた.聞くとやはり原則として折り畳みはできないそうだ.マウンテンバイクのようなサスペンションが後側にあり,サスペンションユニットを外せばリアスイングアームを畳むことができそうだが,それはけっこう面倒でしかもあまり小さくはならない.

ぼくがゴールしてから 1 時間ほどで須藤さんが帰ってくる.つづけててんてこさん,まきさん.ちょっと遅れてイデグチさん,コムカイさん.

大会終了 / 輪行

ほぼ最後のころまで芝生の上でたむろしていたぼくらもやっと帰ろうということになる. まきさんはもう一泊.ぼくと吉田信生さんとイデグチさん,コムカイさんは輪行組で,ホテルでシャワーを浴びた後で友部駅まで自走した.

友部駅で初めて完全に折り畳んだ Vikkino を見る.

常磐線の各駅停車に乗り込んだ四人.4 つの折り畳み自転車は十分小さくて,電車のドアの脇 4 箇所に置いたが,あまり邪魔にはならないようだ.

いねむりしたり,おしゃべりしたりで,がたごとと鈍行電車に揺られながら帰路に着いたのだった.

今回の結果

今回のぼくの走りは自己採点では満点だった.

いつも補給食の取り方で失敗して食べすぎたり,水を飲みすぎたりしたのだが,今回は空腹や乾きを感じる前に,まめに補給するのがうまくできた.

ペース配分もなにも考えずに最初から全力だったが,最後まで極端にペースダウンすることなくたんたんの走れたし,結果も出たのであれで良かったのだろう.

ギア比についてももっと重いギアや軽いギアが必要かと思ったが,特に問題ない.絶対にこれ以上重いギアはいらないと確信できた.今後もっと踏めるようになってもあまりスピードを出すとハンドルがぶれるので,これ以上トップスピードが上がるように重いギアをインストールしても意味がないだろうと感じた.

あえて反省点をあげれば,今回はひたすら速く走るための走っていたので,景色を楽しむような余裕があまりなかった.もっと体力がついてきたら同じペースで走っても,もっと景色を楽しんだりして走ることができるようになるだろうか.

結果

メーリングリストでの参加宣言

過去のセンチュリーラン笠間


おのひろき onohiroki@cup.com

2001 年 9 月 6 日作成