GPS とは? GPS というのは人工衛星から電波を受信して,位置情報を得る仕組みの事.最近では「カーナビ」と呼ばれる GPS を利用した自動車用のナビゲーションシステムがかなり一般的になってきた.自動車用のナビゲーションシステムは,CD-ROM や DVD-ROM を利用した地図情報を GPS による位置情報,センサーによる速度や異動距離の情報などに,コンピュータによるナビゲーションを組み合わせたかなり高度なシステムだ.
しかし GPS と「カーナビ」はイコールではない.GPS は位置情報だけなのだ.つまりおおざっぱにいえば経度・緯度が分かるだけ.後は衛星からはその位置情報を受信側が計算する時に必要な正確な時刻の情報が得られる.
この位置情報を得るための機器の一つにハンディ GPS というものがある.手のひらに載る GPS システムだ.山歩きやヨットなどに使われるようである.これはサイクリングにも便利である.位置情報のほかに簡単なナビゲーションの仕組みが備わっている.
折り畳み自転車では,通常のスポーツ用自転車と違って速度や移動距離の分かるサイクルコンピュータの取り付けで困ることがある.理由は無線式のサイクルコンピュータでは,他の自転車の電波と干渉しないために弱い電波を使っていて,普通の自転車の前輪のフォークにセンサーをつけ,表示部をハンドル付近につけた時にちょうど良いくらいの電波の強度にしてある.ホイールの小さい自転車ではセンサーと表示部が遠くなってハンドルに表示部をつけると電波が届きににくくなったりする.有線式の場合はコードを長くしたりしなくてはならなくなったり,折り畳み時にコードが邪魔にならないようにしなければならない.だから折り畳み自転車では工夫が必要なのだ.
それならいっそ GPS を使ってみたらというのがぼくの提案だ.
ハンディ GPS では,サイクルコンピュータの代わりとして使用できるだけの機能がある.
さらにハンディ GPS ならではの機能として
しかしながらやはりデメリットもある.サイクルコンピュータは自転車に特化したものであるから,すばらしい機能もあるのだ.
サイクルコンピュータの優れた点として:
GARMIN GPS II+ とサイクルコンピュータを比較すると,
一般的なサイクルコンピュータの方が数字などが大きく表示されて見やすい.
特に文字の多きさは,自転車では大切ではないだろうか.自転車で走っている間はちらっとしか見ないのであるから,文字は大きい方が良い.SPECIALIZED SpeedZone Team は速度を示す文字は 1 文字が縦 10 mm 横 5 mm である.しかしながらぼくが使っている GARMIN GPS II Plus は一番大きく速度が表示されているときでも文字の大きさは縦 4 mm 横 3 mm 程度と圧倒的に小さい.もちろんその程度の大きさでも十分読めるのであるが,もっと大きい字の方が見やすいはずだし液晶は 50 mm × 32 mm くらいあるのだ.どうしてもっと大きい文字で表示してくれないのだろう.(追記:GPS III+ では大きい文字で表示されます)
ハンディ GPS は GARMIN GPS II+ や e・Map (メモリカード無し) が $200 程度からである.もっと安い機種ももっと高機能で高価な機種もある.サイクルコンピュータと比べて,若干高価かもしれないが,自転車を一人で何台も持っている場合には,そんなに高価ではないかもしれない.自転車が何台もある場合は,サイクルコンピュータではホイールの回転数を計測するセンサー部が自転車の台数分だけ絶対に必要だ.ハンディ GPS では本体と,自転車取り付けブラケット (GARMIN 製は 5,000 円前後と高価!)の 1 セットで複数の自転車で利用できる.そう考えるとサイクルコンピュータと比べてもそうひどく高価という訳でも無いかもしれない.
ハンディ GPS は一般にはその画面に詳細な地図を表示しない.GPS 付き PDA タイプの端末も幾つか出てきていてそれらは地図の上に現在位置を表示する.
地図情報も扱うこれらは分かりやすいものであるが,サイクルコンピュータを置き換えられるものではない.あと GARMIN のハンディ GPS などでは,移動経路をトラックログとして保存し,後からパーソナルコンピュータにトラックログを転送して地図の上で移動経路を確かめたりすることができるが,地図情報を扱う小型の携帯情報端末では,移動経路をログとしてコンピュータに転送するような機能が欠けているようである.
サイクリングへ応用する場合は,GPS を頼りに進むのであれば,走りながら GPS から情報が得られなければならない.そのためには走行中に一瞬で確認できるだけの少ない情報量を表示できなければならない.矢印で方向を指し示すとか,予め設定してあるルートのラインに対しての現在位置とか.
表示する情報量を減らすのとは
別にカラー表示にするなどして,重要な情報を選択して強調するという方法も考えられる.しかし現在の技術では,カラー表示と直射日光下での視認性,十分な連続駆動時間,小型軽量といったことをハンディ GPS に求めるのは難しいのではないだろうか.液晶にバックライとを使わない,反射型カラー液晶がこれらの問題を解決する鍵だろう.
「どこNavi」サービスという位置情報サービスを利用できる.NTT ドコモのネットワークを使って,GPS の位置情報に補正を加えたり,地図情報をネットワークからダウンロードしたりできる.ネットワークを使うためには 800 MHz の携帯電話を使う.白黒液晶表示部を持ち Internet 端末として web ブラウズや電子メールが使える.ペンをつかったタッチパネル式の操作
自転車で走りながらでは操作は難しそう.速度表示などはできるのだろうか.
特に市街地などでビルで反射された電波を使うことができ,ビルの中でも窓際なら GPS が利用できるそうだ.
GPS による衛星からの位置情報だけでも動くが,ネットワークを使って GPS の位置情報に補正を加えたり,地図情報をネットワークからダウンロードしたりできる.ネットワークを使うためには携帯電話か PHS を使う.カラー液晶表示部を持ち Internet 端末として web ブラウズや電子メールが使える.ペンをつかったタッチパネル式の操作とボタン操作の組み合わせ.なぜかデジタルカメラの機能もある.パーソナルコンピュータから専用の地図データをダウンロードできる.
自転車で走りながらでは操作は難しそう.速度表示などはないのではないか.
白黒液晶で,Windows のコンピュータから地図データをダウンロードする.紙の地図をスキャナで読み込めば利用できる.電子コンパスを内蔵していて,GPS からでは制止状態では方角の情報が得られないことを補う.どうしても地図が出ないといやだとなると,これはなかなか良い選択かもしれない.
従来のエンペックスからの ハンディ GPS であるポケナビシリーズはあまり良い評判は聞かなかった.ところが今度新しく発売された Map 21 は大変評判が良い.ハンディ GPS に興味があってもどう使えば良いのか分からないという人がいる.つまり自動車用の GPS を利用したナビゲーションシステム(いわゆるカーナビ)と比べると詳細な地図情報が画面に表示されないハンディ GPS では実際にどのように利用するのかちょっと想像できないというのだ.そういったハンディ GPS 未体験者,もしくはとりあえず持ってはいるが活用できていないといいう人にとって,地図が表示できるという機能は待ち望まれていた機能だ.
Map 21 は予めある程度詳細な地図情報が内蔵されていて,白黒の小さな液晶にけっこう細かい地図を表示できる.しかし自転車で走りながら地図情報を読み取ることはまず不可能だろう.一度停車してじっくり見いるような使い方になるはずだ.また現在はパーソナルコンピュータ側から GPS のデータ管理をすることができない.ルートをパーソナルコンピュータ側で作って転送するといった使い方や走行ログをパーソナルコンピュータにダウンロードして加工するような使い方はできない.ルートを設定するとか,走行ログを扱うような高度な使いかたは始めから考えていなくて,単に地図に現在位置がでるというのが楽しいという使い方にはむいているだろう.ただパーソナルコンピュータ側でデータ管理できない理由は,まだ Map 21 が発売されたばかりで,対応ソフトがないのが理由であって,Map 21 側にはパーソナルコンピュータと接続するためのインターフェースは備わっている.対応ソフトはまだ少ないが 2001 年 2 月の時点でアルプス社の プロアトラスシリーズで,データをパーソナルコンピュータに読み出すことができるそうだ.
GARMIN のハンディ GPS はサイクルコンピュータを置き換えられる.地図情報を扱うものはどうやって利用できるかは,想像が難しくないと思うので,特に地図上方を扱わないハンディ GPS について扱う.
サイクリングで利用する場合は次のような手順になる.
パーソナルコンピュータの地図ソフト上で,サイクリングコースを検討したりする.そしてコース上の目標となる地点を幾つか決める.
その目標となるいくつかの地点の情報をハンディ GPS に転送する.またその目標地点を順番にならべたルートデータもパーソナルコンピュータ側で作成してからハンディ GPS に転送するか,ハンディ GPS 側で目標地点を編集してルートデータを作成する.
ぼく自身は現在は Mac 上の地図情報ソフト MapFan II PUE を使ってルート検索を行いルートを決定し,それを GPS データ管理ソフトの GPSy の形式に変換してからトラックデータとして GPS に転送.その後で GPS 側でトラックデータからトラックバックという機能を使って GPS のルートデータに変換しナビゲーションに利用している.言葉では難しげであるが,それほど難しい作業ではない.
時速や距離だけでなく,次の目標の方向や距離などを確かめられる.マップ表示で目標地点と現在位置の相対関係を確認したりできる.ルートを設定しておけば,それを頼りに知らない場所でもどんどん進むことができて,地図で現在位置やルートを確認する必要が減る.
特に記録しておきたい地点をハンディ GPS に記録できる.
移動経路のログデータをパーソナルコンピュータに転送して,いろいろ処理ができる.地図の上で移動経路を表示することもできる.移動中に位置を記録した地点では記録した時刻なども確認できたりする.
最近は走行時のログをサイクリング中にハンドヘルドコンピュータ Visor にバックアップできるようになった.
GARMIN GPS II+ はアメリカから通販で $200 で購入した.必要なものは実際には以下のようになる.
$200
REI.com で購入
2,900 円
GPS ショップまっさん
$20
REI.com で購入
4,000 円
GPS ショップまっさんで追加購入
古いコンピュータ
地図ソフト CD-ROM 2 枚
Macintosh の GPS 用ソフトウェアの定番.シェアウェア.
実際に使ってみての不満点は以下のことがある.
2000 年 1 月 23 日作成 / 2003 年 1 月 1 日修正
おのひろき onohiroki@cup.com